「どのような商品やサービスを開発するか」「開発したものをどのように消費者に認知してもらい、手にとってもらうか」といったマーケティング戦略を考えるには、市場をグループ分けしてターゲットを設定することが大切です。

市場のグループ分けに適した手法のひとつに「セグメンテーション」があります。うまくセグメンテーションできれば、企業が有利に事業展開できる市場を見つけられるため、売上を伸ばしやすくなります。今回は、セグメンテーションに焦点を当てて、手法の概要やセグメンテーション変数の種類、分類の適性を判断する「4R」について詳しく説明します。

まずはセグメンテーションについて知っておこう

市場を正しくセグメンテーションするには、まずセグメンテーションがどのような手法なのか、セグメンテーションがなぜ重要視されているのかを知ることが大切です。

以下では、セグメンテーションの概要について詳しく説明します。

そもそもセグメンテーションとは?

そもそも、マーケティングにおけるセグメンテーションとは、ターゲットとする顧客層を決めるために市場を分類すること」です。

分類する項目として、居住地や年齢、性別や価値観などが挙げられます。このように特定の属性ごとに市場を分類すれば、企業が有利に戦えるポジションを見つけやすくなります。

セグメンテーションが重要視される理由

以前は、テレビCMやラジオCM、雑誌広告や新聞広告といった「マス広告」で企業の商品やサービスを幅広い消費者にアピールするマーケティング手法が主流でした。

しかし、近年はマーケティングをおこなううえでセグメンテーションをする重要性が高まっています。

なぜ、近年セグメンテーションが重要視されているのでしょうか。

セグメンテーションが重要視される理由として、「消費者のニーズが多様化したこと」が挙げられます。現代の市場は、モノや情報が飽和状態になりつつあるため、大衆向けの商品を開発しても簡単には売れなくなっているのです。

市場を居住地や年齢、性別や価値観といったグループにセグメンテーションすれば、多様化したニーズの中から、企業がアプローチすべき部分を明確にできます。集客や売上が期待できる部分に注力して、マーケティングコストを抑えつつ売上を伸ばせれば、モノが売れにくい時代でもうまく利益を出し続けられるでしょう。

セグメンテーションが加速している要因

マーケティングにおいて重要なセグメンテーションは、インターネットやスマートフォンなどのIT技術が普及したことから、どの企業でも簡単に取り組めるようになっています。

たとえば、マーケティングツールを導入すれば、消費者の行動特性や趣味嗜好といった情報を簡単に入手できます。この情報を顧客の購買履歴と照らし合わせれば、「自社のWEBサイトにアクセスするユーザーは30代女性が多く、美容への興味・関心が高い。現在は20代の女性に向けて化粧品を開発しているが、今後は30代の女性に向けた商品開発や広告宣伝に力を入れていく」といったマーケティング戦略につなげることが可能です。

また、SNS広告を活用すれば、「30代の女性で、美容関連のキーワードでよく検索しているユーザーを対象に自社商品の広告を表示させる」などの戦略をとれます。このように、ITツールをうまく活用することで特定の消費者を指定して企業の情報を届けられることから、マーケティングをおこなううえでセグメンテーションは不可欠な手法になるでしょう。

セグメンテーション変数の種類を知っておこう

ここまでは、セグメンテーションの概要について説明しました。先述したように、セグメンテーションは市場を特定の項目ごとにグループ分けするものです。しかし、グループの種類はさまざまなので、「どのような項目でグループ分けすればよいか決められない」という人も多いのではないでしょうか。セグメンテーションの分類(セグメンテーション変数)には、次の4つがあります。

以下では、セグメンテーション変数の種類について詳しく説明します。

地理的変数

地理的変数は、国や都道府県、市町村といった、文字通り地理的な要素に基づいた項目のことをいいます。たとえば、通販サイトであれば「世界中の消費者は販売対象にするのか、日本国内の消費者に絞って商品を販売するのか」といった視点でターゲットを考えます。ラーメン店であれば、「〇県〇市の消費者をターゲットにする」などの戦略が立案できるでしょう。

また、地方に出店する場合は、「消費者の移動手段」まで考えます。「〇市では車移動がメインなので、交通量の多い国道沿いに出店する」「〇市は電車で通勤する人が多いので、駅周辺に店舗を展開する」のような考え方ができれば、うまく消費者を呼び込めるでしょう。

最近はオンラインで商品を販売できるため、業種によっては地理的変数にそこまでこだわる必要はないかもしれません。しかし、鍼灸院や美容室のように、実店舗でのサービス提供がメインの業種では、地理的変数を慎重に考える必要があります。

人口動態変数

人口動態変数は、年齢や性別、家族構成や職業といった要素が含まれます。たとえば、理容室を経営するのであれば「男性に対して店舗のキャンペーン情報をアピールする」、不動産業界であれば「子育て世帯に向けてマンションギャラリーへの案内状を送る」といった戦略が考えられます。

また、「高級感を売りにしたカフェで集客数を増やしたい」という企業では、「シニア層や高所得者層をターゲットに店舗の魅力を伝える」のような戦略も効果的です。出店エリアに学生が多いことが分かったら、「クーポンを配布して入店のハードルを下げる」などの手法を考えるのもよいでしょう。

心理的変数

心理的変数には、消費者の性格や価値観、ライフスタイルや趣味といった要素があります。消費者1人ひとりの心理的変数を把握するのは簡単ではありませんが、心理的変数を絞ってアプローチすることで、競合との差別化を図りやすくなります。

たとえば、「他者に不快感を与えないように喫煙したい」という考えを持つ消費者に対して「火を使わない喫煙器具」を販売すれば、同様のニーズを持つ人たちから支持されるでしょう。健康志向が高い消費者に焦点を当てて無農薬野菜を販売すれば、興味や関心を集めるとともに売上を伸ばしやすくなります。

行動変数

行動変数は、消費者の購買歴や商品・サービスに関する知識などが含まれます。適切な時期に消費者が求める情報を与えれば、効率的に売上を伸ばせるでしょう。

たとえば、短期間で購入を繰り返す日用品のような商品を販売する企業では、「毎週末にセール情報をチラシで送る」のような手法をとれば、店舗に足を運んでもらいやすくなります。

一方、日用品ほど購入頻度が高くない美容室で同様の手法をとると、売り込み色が強すぎるとして、消費者に不満を持たれかねません。

「顧客Aは3ヵ月に1度美容室を利用している」「顧客Bは毎月美容室を利用している」のように、顧客の利用頻度に応じたマーケティングをおこなうことが大切です。

また、30~40代向けにITツールを販売している企業が「シニア層からツールに関する問い合わせが多く入っている」という情報をつかんだ場合、「シニア層向けにツールの使い方に関するセミナーを開催する」などのマーケティング手法が考えられます。選択する行動変数によっては、これまでターゲットに設定していなかった消費者層を呼び込めるようになるため、幅広い視野で分析することが大切です。

セグメンテーションをする際に重要な「4R」とは?

ここまでは、セグメンテーション変数の種類について説明しました。セグメンテーションによって立案するマーケティング手法は企業によって異なるため、設定するターゲットが適切かどうかを判断することが大切です。セグメンテーションをもとにマーケティング戦略を立案する際は、次の4つの「R」を意識しましょう。

以下では、セグメンテーションをする際に重要な「4R」について詳しく説明します。

Rank(優先順位)

「Rank」では、「自社の強みを活かせられるか」「競合と比較して不利な状況になっていないか」のように、優先順位を考えながらセグメンテーションできているかをチェックします。

たとえば、「イタリアでの修行の成果を活かして、高級感のあるイタリアンレストランを開きたい」と考えているにも関わらず、メインターゲットを「10代のカップル」に設定すると、誤ったマーケティング戦略の立案につながりかねません。

もちろん10代のカップルを顧客から除外するわけではありませんが、高級感のあるレストランであれば、ある程度の収入がある層をメインのターゲットにしたほうが成功しやすいと考えられます。「仕事帰りに外食をして帰るオフィス勤務の20~30代女性」「雰囲気良く食事を楽しみたい30~40代の夫婦」などに設定すると、より一貫性のあるマーケティング戦略を考案しやすくなります。

Realistic(規模の有効性)

「Realistic」では、ターゲットに設定したセグメントに十分な市場規模があるかを判断します。

たとえば、住宅街にパスタ屋を展開している企業が「仕事帰りにパスタを食べたい」というニーズを発見できても、その人数が少なければ売上は伸ばしにくくなります。ターゲットを「休日に外食するファミリー層」のように、より多くの消費者を獲得できる市場にターゲットを変更すれば、売上を伸ばしやすくなるでしょう。

Reach(到達可能性)

「Reach」では、ターゲット層に商品やサービスを届けられるか、広告宣伝などで企業の情報を伝えられるかをチェックします。

「多くの消費者に喜んでもらえるパスタを提供できる」という強みを持った店舗でも、アクセスしにくいエリアに住む消費者を獲得するのは困難です。「〇〇駅から徒歩〇分以内に住む人」のように適切なエリアを選べば、マーケティングにかかるコストを抑えつつ効率的に売上を伸ばせるようになります。

Response(測定可能性)

「Response」では、設定したターゲットに対してマーケティングをした場合、その結果を測定できるかを考えます。

「近隣住民にチラシを配布する」というマーケティング手法を考えても、店舗に足を運んだ顧客がチラシを見て来店したのか、インターネットで店舗を知って来店したのか区別できなければ、チラシ配布に力を入れるべきかどうかを判断できなくなります。

「チラシを持参した方にドリンク一杯プレゼント」のように、チラシに特典を設ければ、チラシの効果を測定しやすくなります。また、SNS限定で配布するデジタルクーポンを活用すれば、マーケティング効果を手軽に集計・分析することが可能です。

まとめ

ここでは、セグメンテーションの概要やセグメンテーション変数の種類、適正な分類をするための「4R」について説明しました。

セグメンテーション変数にはたくさんの項目があるため、漏れなく分析できるよう余裕を持って取り組むことが大切です。ここで説明した内容を参考にして、セグメンテーションによって集客や売上につながるマーケティング戦略を立案しましょう。

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