日々の仕事において、予定やタスクを整理しながら進めていくのがスケジュール管理です。適切なスケジュール管理を行うことで、自分自身だけでなく、所属する部署やチームの業務効率化につながります。

ところが「スケジュール管理の重要性はわかっていてもどうもうまく管理ができない」、「スケジュール管理がうまくできないせいで、仕事がスムーズに進まない」と、スケジュール管理について苦手意識を持っている人もいるのではないでしょうか。

今回は、スケジュール管理について苦手になる原因や、上手にスケジュール管理を行うコツ、役立つツールなどを解説していきます。

スケジュール管理が苦手になる原因


業務をスムーズにこなすために必要なスケジュール管理ですが、苦手になってしまう原因には何が考えられるのでしょうか。ここでは、スケジュール管理が苦手になる原因について3つ解説します。

タスクを把握しきれていない

スケジュール管理が苦手な人は、今やらなければならない業務の最小単位となる「タスク」を把握しきれていないということが考えられます。

タスクを把握してスケジュール管理をするには、

・いつまでに
・何を終わらせなければならないのか
・それぞれのタスクがどの程度時間がかかるのか
・人員はどのくらい必要か

といったことを明確することが重要です。それが把握できていないと、納期や締切などに遅れが生じてしまうことも考えられます。

また、タスクは頭の中だけで考えると抜けや漏れの恐れもあるため、必ずメモやスマホのスケジュール機能などに記録しておくことが重要です。

タスクに優先順位をつけていない

それぞれのタスクの人員や時間といったリソースが限られている場合、タスクの優先順位をつけることは非常に重要です。期限が間近に迫っているような緊急性のあるタスクや重要度の高いタスクを後回しにしてしまうことで処理が追いつかなくなり、チームや取引先に迷惑をかけてしまうなどの問題も生じるかもしれません。

複数のタスクがある場合には、何から取り組むべきかという優先順位をつけることを意識しましょう。

タスクごとの時間の見積もりが甘い

次工程の部署や取引先などに納期を伝えたものの、タスクごとの時間の見積もりが甘かったために結局間に合わず、理由をつけて納期を遅らせてもらったという経験はないでしょうか。

業務を計画する際、実際に取り組む作業時間を短めに設定してしまうと、想定外のトラブルが発生した場合に一気に時間がずれ込んでしまい、作業全体に遅れが生じてしまいます。さらに、雑務に対応できる時間や移動時間といった時間も見込んでいないと、余裕のないスケジュールになってしまうでしょう。

それぞれのタスクに必要な時間は、作業以外に必要な時間や予備時間も踏まえて、柔軟に対応できるスケジュールにすることで余裕のある対応ができます。

自分のスケジュール管理を上手におこなうコツ

自分のスケジュール管理を上手におこなうコツ
  • やるべきこと(タスク)を洗い出す
  • タスクに優先順位をつける
  • タスクごとにかかる時間を確認する
  • タスクを組み上げてスケジュールを作る
  • できあがったスケジュールに余裕があるかを確認する
  • タスクが終わるごとにスケジュールを見直す

自分自身のタスクのスケジュールについて、遅れが生じることなくスムーズに進めるには、どのようなスケジュール管理を行えばよいのでしょうか。ここでは、自分のスケジュール管理を上手に行うコツについて6つ解説していきます。

やるべきこと(タスク)を洗い出す

まずは、自分がやるべきことを洗い出す作業です。自分が持っている業務を書き出し、最小単位のタスクまで細分化していきます。

営業の仕事を例とすると、「契約を5件獲得する」という目的がある場合、以下のようなタスクに細分化できます。

・各顧客へのアプローチ、アポイント
・各顧客への提案書の作成
・商談、交渉
・見積書作成
・営業進捗の資料や日報の作成
・クロージング

「今何をすべきか」ということが明確になることで、ひとつひとつの行動に集中することができます。

タスクに優先順位をつける


複数の業務がある場合、それぞれ細分化したタスクに優先順位をつけましょう。漢字の「十」の字のように、四分割のスペースを用意します。その際は、「緊急度」の高低、「重要度」の高低に分けるために、横軸に緊急度を左から右へ低→高とし、縦軸に重要度を下から上へ低→高と矢印を引いてタスクを4分類できるようにします。右上の「緊急度(高)」、「重要度(高)」が「A」、左上の「緊急度(低)」、「重要度(高)」が「B」、さらに右下が「C」、左下を「D」とすると、Aから順に「1必須」「2効果性」「3錯覚」「4浪費・過剰」に振り分けることができます。

タスクごとにかかる時間を確認する

タスクごとにかかる時間を把握することは、期限内に業務を完了させるには重要なポイントです。過去の実績をもとに必要な時間を分析しましょう。その際は先に優先順位をつけた緊急度や重要度に従って時間配分することと、不意なトラブルも対応できるように時間に余裕をもたせたスケジュールにすることが重要です。

タスクを組み上げてスケジュールを作る

先に解説したタスクの洗い出しや優先順位づけができたら、実際にカレンダーにひとつひとつを組み上げてスケジュールを作っていきます。

タスクの開始日は、納期やタスクの作業工数を逆算して設定します。さらには優先順位も踏まえながら、スケジュール期間に完了できるように設定していきましょう。

できあがったスケジュールに余裕があるかを確認する

スケジュール管理が苦手となる原因としてもあげたように、どれほど綿密なスケジュールを立てたとしても、想定外のトラブルが起こるなど、予定通りにスケジュールが進むのは稀なことです。

そのため、それぞれのタスクに必要な時間を余裕を持たせて設定することで、トラブルが発生した場合や緊急の別の業務が発生した場合にも対応することができます。また、設定した空き時間と実際にかかったタスクの時間を照らしあわせて、どのくらいの空き時間が実際に必要かということに目を向けられるようになります。

タスクが終わるごとにスケジュールを見直す

ひとつのタスクが終わるごとに、想定した時間内に進んでいるか、予定の変更はないかなど、自分が立てたスケジュールと照らしあわせ、変更があればスケジュールを見直す習慣づけをしましょう。その際に予定よりタスクが遅れていたり、反対に進みすぎていたりしたら、その都度スケジュールを更新し、業務全体が円滑に進められるようにします。

チームのスケジュール管理を上手におこなうコツ

チームのスケジュール管理を上手におこなうコツ
  • メンバー全員のスケジュールを共有する
  • タスク1つ1つに余裕を持たせる
  • メンバーに報連相を徹底してもらう
  • 積極的にツールを活用する

自分ひとりではなく、チーム制で業務を行う場合、どのようなことを意識すればスケジュール管理がうまくいくのでしょうか。ここでは、チームのスケジュール管理を上手に行うコツについて4つ解説します。

メンバー全員のスケジュールを共有する

プロジェクトチームや部署といったチーム単位で業務を行う場合、各メンバーのスケジュールを共有して、それぞれの予定を「見える化」することがポイントです。各メンバーのスケジュールを把握していることで、誰がどの案件を抱えているか、進捗はどの程度かということがわかり、メンバー同士のタスクの漏れを防ぐことができます。

さらにどのメンバーが忙しいか、現在余裕があるか、ということも把握できるため、新たな依頼をお願いしたり、業務を振り分けたりすることも可能となります。

タスク1つ1つに余裕を持たせる

個人のスケジュール管理と同様に、ひとつひとつのタスクは時間に余裕を持たせて設定することが重要です。予備時間があることで、突発的なトラブルも柔軟に対応しやすくなり、各タスクの多少の遅れもカバーすることができます。

メンバーに報連相を徹底してもらう

報連相(報告・連絡・相談)は、チーム内や部署内の各メンバーの進捗状況を把握し、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。また、報連相なしに個人で業務を進めていたことにより、当初の方向性とは異なる方向に仕事が進んでいたということも防ぐことや方向修正も可能になります。

こまめな報連相が定着することで、各メンバー自身が次に取るべきアクションを理解でき、必要であれば他のメンバーのサポートに入るなど、臨機応変な行動を取ることもできるでしょう。

積極的にツールを活用する

スケジュール管理を人手だけで行ってしまうと、どうしても管理者の熟練度に左右されてしまうことがあります。管理者の経験が浅い場合でも効率的に業務を進めていくには、スケジュール管理アプリなどのデジタルツールを積極的に活用しましょう。特に、プロジェクトチームなど複数のメンバーが関わっている業務では、各メンバーのタスクやスケジュールを一元管理できるツールの活用がおすすめです。

スケジュールを管理する2つの方法


スケジュール管理をより的確により効率的に行うにはどのような方法が考えられるでしょうか。スケジュールを管理する2つの方法について紹介します。

手帳を使う方法

スケジュール管理に手帳を使う方法は、出先などですぐに内容を確認できたり、メモ代わりに使えたりするため、週単位や月単位でのスケジュール管理に向いています。

さらに手帳はオンラインでの管理ではないため、手帳そのものを紛失しない限りはデータが消えたり、改ざんされたりするなどの心配も不要です。ただし、プロジェクトチームなど複数のメンバーの管理には不向きですので、あくまで個人単位での利用がよいでしょう。

ツールやアプリを利用する方法

プロジェクトチームや部署全体などの組織でのスケジュール管理には、クラウド上で使えるスケジュール管理アプリやツールが役立ちます。メンバー同士でスケジュール共有ができ、パソコンやスマホ、タブレットですぐにアクセスできます。

ツールやアプリのなかには、タスクの緊急度や重要度をメモする機能や優先順位を判断して表示する機能がついているものもあり、営業や日々の変化が激しく、流動的な業務の多い業種にはおすすめです。

スケジュール管理に役立つツール

スケジュール管理に役立つ方法として、ツールやアプリを利用する方法を紹介しましたが、具体的にはどのようなツールが役立つのでしょうか。最後に、スケジュール管理に役立つツールとして4つ解説します。

表計算ソフト

ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトは、日常的な業務で使い慣れていることが多く、比較的簡単に導入できるソフトです。使いやすいデザインにしたり、テンプレートを利用したりするなどで時間単位、週単位、月単位いずれも管理しやすく、時間と手間をかけずにスケジュール管理を導入できる、柔軟性とカスタマイズ性に優れたところがおすすめです。

スケジュール管理ツール

Googleカレンダーなどのカレンダーツールを用いたスケジュール管理もおすすめです。代表的なものとして下記のツールがあげられます。

・Googleカレンダー
・Lifebear
・TimeTree
・LINE WORKS

なかでもGoogleカレンダーは無料で利用できるだけでなく、他のGoogleサービスとの連携が可能です。メンバー全体で予定の共有やスケジュール調整もできます。ただし、Googleカレンダーは重要度や優先度の設定といったスケジュール管理はできず、あくまでカレンダーとしてのツールとなります。

また、LifebearやTimeTreeなどのスケジュール管理用のツールでは、カレンダー機能だけでなく、メモの共有やチャット機能もついているため、チーム内で活用するには便利でしょう。

参考:共有可能なオンライン カレンダーとスケジュール設定 – Google カレンダー(2025年6月時点)

参考:Lifebear [ライフベア] | クラウド型電子手帳(2025年6月時点)

参考:TimeTree(タイムツリー)|予定の共有と相談がおどろくほど簡単にできるコミュニケーションアプリ(2025年6月時点)

参考:LINEとつながる唯一のビジネスチャット – LINE WORKS(2025年6月時点)

タスク管理ツール

タスク管理のためのツールも、チーム単位やプロジェクト単位での管理ができるため、スケジュール管理ツールとしても役立ちます。タスク管理ツールの主なものには下記があげられます。

・Trello
・Backlog
・Notion
・Todoist

タスク管理ツールは、タスクの抽出やTo Doリストの作成だけでなく、タスク共有機能や、タスク内容の質問や報告ができるコメント機能を備えたものもあるため、スケジュール管理ツールとしても活用できます。パソコンやスマホ、タブレットで使えるツールもあるため、リモートワークにおいてもメンバー間のタスクの把握が可能で、効率的な業務が期待できます。

参考:どこからでも To Do をキャプチャし、整理し、取り組むことができます | Trello(2025年6月時点)

参考:Backlog|チームで使うプロジェクト管理・タスク管理ツール(2025年6月時点)

参考:Backlog|チームで使うプロジェクト管理・タスク管理ツールあなたのニーズを叶えるAIワークスペース。| Notion (ノーション)(2025年6月時点)

参考:Todoist | ToDo リストで仕事と生活を整える(2025年6月時点)

メモやノートができるアプリ

メモアプリやノートアプリは、その場で記録できるため、アイデアなど気づいたことをメモしたい場合や大切なタスクを忘れずに書き込めます。ペンタブレットで手書き入力できるものや、音声をデジタルテキストに変換できる機能を備えたアプリもあります。また、気づいたことのメモや、記事録作成にはノートアプリを用い、タスク管理にはTo Doリストアプリを使用するなどの使い分けをするとより効率的に業務を進められるでしょう。

まとめ


今回は、スケジュール管理について苦手になる原因や、上手にスケジュール管理を行うコツ、おすすめのツールなどを紹介しました。自身のタスクを把握しきれていないことや優先順位をつけていないことが、スケジュール管理が苦手になってしまう原因です。個人でもチーム内においても、タスクの洗い出しや優先順位の確認を行い、手帳や管理ツールを用いるなどで、より効率的で余裕のあるスケジュール管理を目指してみましょう。

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