カフェを利用するお客様は、落ち着きや居心地のよさを求めて訪れます。「多くの人に愛されるカフェを開業したい!」と考えるとき、優先させたい事柄の一つが「内装デザイン」です。カフェを開業するにあたって、内装デザインをどのように考えればよいのでしょうか。内装デザインの種類や内装業者の選び方、費用の目安などを詳しく紹介します。

カフェの内装デザインは集客や売上に影響を与える

カフェを訪れるお客様は、会話を楽しんだり、打ち合わせに利用したり、一人の時間をくつろいだりと、さまざまな目的を持っています。そして「落ち着きがあり、居心地のよい雰囲気であるか」ということを重点にお店選びを行います。そのため、カフェの内装デザインの良し悪しは、集客や売上に大きく影響を与えるのです。

提供する商品やサービスがどれほど質の高いものであっても、お客様が居心地がよいと感じられなければ、再来店にはつながりません。良質のものを提供するということは、商品やサービスそのものだけでなく、空間や時間も提供するのであるということを頭に入れて、内装の検討を始めましょう。

カフェの内装デザインを決めるには

お客様に愛着を持って利用していただけるカフェを完成させるために、内装デザインを決める上でどのような考え方が必要なのでしょうか。それには、さまざまな視点から想像を膨らませることがカギとなります。この項で詳しく説明します。

人気のカフェから学ぶ

これまで自分が訪れたカフェの中で、「このカフェは居心地がいいな」「また訪れたいな」と感じたカフェはどのような内装だったでしょうか。また、メディアで特集されるような人気のカフェは、内装の特徴にどのようなものがあるでしょうか。

自分が心地よいと感じるカフェや、人気を集めるカフェというのは、それぞれに理由があります。それらの理由を箇条書きにしてポイントをまとめてみましょう。また、普段利用するカフェや初めて訪れるカフェに何度か足を運んで、「BGMがあるから心地よいのだな」「座席が狭くて少し落ち着けない」など、自分が査定人になったつもりでいろいろな角度から内装を見渡してみてください。自分の理想の内装デザインをまとめていくのに大いに役立つでしょう。

5W2Hを意識してコンセプトを明確にする

内装デザインだけでなく、カフェの開業にあたってコンセプトを明確にすることは優先すべき事柄の一つです。あらゆる事業をおこす際のコンセプト作りに「5W2H」を取り入れることは、考えが整理され、より明確なコンセプト作りができるとされています。

5W2Hを意識してコンセプトを明確にする
  • WHEN:開店はいつか、営業時間はどうするか
  • WHERE:どこで店舗を展開するのか
  • WHO:誰をターゲットとするのか
  • WHAT:何を販売するのか
  • WHY:なぜカフェを開店させる必要があるのか
  • HOW:どのようにしてカフェを展開させていくか
  • HOW MUCH:開業資金はいくらか、販売価格はいくらか

以上のことをコンセプトとして細かく設定することによって、商圏や資金などカフェを開業するにあたっての必要な要素をより具体的にイメージすることができます。

デザインだけでなく居心地のよさも考える

先述したように、お客様は目的を果たすためにふさわしい空間であることをカフェに求めています。どんなにおしゃれで流行に合わせた内装であっても、座り心地が悪く、隣席の話し声が筒抜けで、お手洗いやレジ前などへの動線が不便というような、目的を充分に果たせない作りであれば、居心地がよいとはいえません。

今はあらゆるメディアを通じて、内装デザインや店舗家具のトレンドを知ることができます。しかしそれはあくまで画像から見た印象だけであって、自分の持つ理想やコンセプトに合っているかどうかは判断できません。さらに、安価に仕上げたいからといって店舗家具をインターネットで購入したものの、内装に合わなかったということもあり得ます。

さらに、居心地のよさとは、自分の感覚だけでは判断が難しいため、自分で得た情報やイメージをもとに、建築家やリフォーム業者などのプロの手を借りるというのが早くて確実な手段といえるでしょう。

カフェの内装デザインの種類

カフェの内装デザインというのは、ターゲットやコンセプトによってさまざまなものが考えられます。お客様が求めている居心地にマッチした内装デザインであることが重要です。ここではカフェの内装デザインの種類をいくつか紹介します。

スタイリッシュなスケルトン系カフェ

スケルトン系というのは、壁面や天井のコンクリートや配管がむき出しになっている状態をデザインとして活かした内装です。ラフであることがスタイリッシュでかっこいいという印象を与えます。

スケルトン系はすっきりとした見た目である一方で、スタイリッシュさを演出するセンスが必要です。また、コンクリートがむき出しであることから暖房や空調の効率も考慮しなければなりません。

自然の素材を活かしたナチュラル系カフェ

地球環境への配慮や癒しが求められている中で、自然素材を用いたナチュラル系カフェは、今の時代にマッチした内装デザインの一つといえます。木目調の家具や床板を採用し、観葉植物を配置することで温かみのある雰囲気になり、太陽光がたっぷりと降り注ぐような大きな窓であれば、明るさを演出できます。

年齢層や商圏を問わないデザインであるため、内装を検討するのに取り入れやすいといえるでしょう。

高級感のあるラグジュアリー系カフェ

高級感や贅沢感など、非日常を味わえる雰囲気がラグジュアリー系カフェの特徴です。グレードの高い調度品で揃えたり、漆喰や珪藻土といった、通常では用いることのない材料を使用したりすることで、リゾートホテルのような非日常的な雰囲気を演出できます。

また、席数を少なくして空間を贅沢に使うことも高級感を印象づけることにつながるでしょう。

シンプルで懐かしい雰囲気のレトロ系カフェ

時代の流れに逆らって、昭和の純喫茶のような雰囲気を醸したレトロ系も、検討できる内装デザインの一つです。

内装や店舗家具を当時の雰囲気に合わせることで、昭和世代であれば懐古的な時間を満喫でき、若者であればブームとしてのレトロな雰囲気を楽しむことができるため、世代を問わない内装であるといえるでしょう。

かわいい雰囲気のポップ系カフェ

ポップ系の内装デザインでは、原色で統一し、丸みを帯びた家具を用います。明るくてかわいらしい雰囲気を演出できるため、カップルやファミリー層など幅広く受け入れられる内装デザインです。

和を基調とした和風系カフェ

和風系カフェは、文字通り日本家屋を基調とした内装デザインです。壁だけでなく畳や障子、和ダンスなど内装のすべてを純和風のインテリアで揃える様式もあれば、内装は純和風で揃えて食器や店舗家具などは現代仕様にするという和モダン様式もあります。

いずれの様式でも日本家屋のイメージは、落ち着いた雰囲気をコンセプトとした場合に有効な内装デザインといえるでしょう。

カフェの内装を業者に依頼するには

コンセプトや内装デザインを理想の形にまとめることができたら、いよいよ内装工事の業者への依頼となります。一度完成したものは簡単に変更できないため、自分の理想の形はより具体的にまとめ、わかりやすく伝えることが大切です。

では、カフェの開業が初めての場合、内装工事はどのように業者へ依頼すればよいでしょうか。また、どの業者がよいのか判断する手段はあるのでしょうか。

内装工事の依頼方法は3種類

内装工事を業者へ依頼する場合、以下の3種類が考えられます。具体的に説明します。

設計と施工を別の業者に依頼

内装工事そのものは「設計・デザインする側」と「実際に工事を行う側」に分かれます。それぞれ分離した形で業者へ依頼する場合、各業者への費用が発生するため、費用は比較的高めというデメリットはあります。

一方で、専門性に特化した業者であれば、レベルの高い内装デザインや施工技術を持っている場合もあり、費用より仕上がりを優先と考えるのであれば有効な手段と考えられます。

設計施工業者に依頼

設計施工業者とは、設計・デザインと施工とを同じ会社内で一括で行う業者を指します。依頼窓口が一本となるため、何度も打ち合わせを行う時間が省け、打ち合わせ内容がズレなく伝達されやすいというメリットがあります。完成までのスピーディーさを求めるのであれば最適といえるでしょう。

店舗開業をトータルプロデュースしてくれる業者に依頼

飲食店の発案から開業までをトータルでプロデュースする業者に一切を任せるという方法も考えられます。設計デザインや施工だけでなく、物件探しや融資の手続きなども全てサポートしてくれるため、初めて店舗を開業する場合や、不慣れなことに時間をかけたくないという場合に適した選択肢といえます。

内装業者を比較できるサイトを活用する

近年さまざまなサービスに関する比較サイトが人気を集め、内装業者探しの比較サイトも登場しています。複数の業者の見積りを比較できるため、自分のコンセプトに合った業者や金額を一括で検討したいという場合は、比較サイトの活用はおすすめです。

カフェの内装工事にかかる費用相場

初めてカフェを開業する際は、内装工事にいくら必要なのか、想像できないという方もいるのではないでしょうか。

内装工事とは、店舗・建物における設備と装飾を行う工事のことを指します。カフェであれば、壁・天井・床などの内装や照明・家具などのインテリア、電気・ガス・水道・空調など建物内のさまざまな施工が含まれます。

内装工事の費用については、物件の状態によって金額が異なります。物件の状態とは、以前の借主の内装や設備がそのまま残っている状態の「居抜き」と、内装や設備が全く施されていない状態の「スケルトン」という、2種類の物件の状態に分かれます。

例に挙げると、15坪ほどの「スケルトン」では、一坪につきおよそ30〜50万円が相場であるとされており、さらに飲食店では厨房設備が必要となるため、一坪につきおよそ45〜60万が目安とされています。さらに、物件の坪数が大きいほど坪単価は安くなります。

一方、「居抜き」であれば、電気やガスといった設備に関する工事は不要になるため、その分の費用は安く抑えることができます。ただし、居抜きの場合は、以前の借主が異なる業種であったり、借主の使用状況が悪かったりすれば、さらに工事が必要となり費用がかさんでしまうことも考えられます。そのため、居抜きの物件を検討する場合には、物件を担当する会社やオーナーに詳しく聞いてから決めることが重要でしょう。

参考:カフェの内装工事費用はいくらぐらいが相場なのかを調べてみました。

まとめ

今回は、カフェを開業するにあたっての内装デザインの考え方や内装デザインの種類、内装業者の選び方などを詳しく紹介しました。

内装デザインの良し悪しやコンセプトとのズレによって、集客や売り上げは大きく差が出ます。5W2Hを用いて詳しいコンセプト作りを行い、自分の描いたコンセプトに合った内装業者の吟味を徹底することで、カフェの開業はよりスムーズに展開していくはずです。自分の理想のカフェを実現させるために、ぜひこの記事を参考にされてはいかがでしょうか。

記事のURLとタイトルをコピーする