ビジネスにおいて自社のサービスや商品をたくさんの消費者に知ってもらうために、集客は重要なプロセスです。今回はビジネスにおける集客方法や、今主流となりつつあるSNS集客についてのポイントを説明していきます。

集客とは

集客とは、「広告などを利用して消費者の興味を引き寄せ、自社の店舗やWEBサイトに見込み客を集めること」です。

自社の商品の販売数を伸ばすためには、どれだけ集客ができるかがカギとなります。どれだけ優れた商品を作っても、その存在を世の中に伝えなければ販売することは不可能です。また、どんなに優秀な営業マンを抱えていたとしても、商品を購入してくれる見込み客が集まらなければ、営業をかける相手がいないので売上を上げることはできません。

集客とはビジネスを成功させるうえで、なくてはならないステップなのです。

見込み客を4つに分類する

では、集客を行うことで集める「見込み客」とは具体的にどのような人なのでしょうか。見込み客とは、「自社の商品やサービスに対し興味を抱いている人」のことを指します。

見込み客は購入予定時期によって、次のように分類されます。

  1. 商品をすぐ購入する顧客
  2. 早めに購入したいと考えている顧客
  3. 今は購入しないが、いずれ購入を検討している顧客
  4. 購入することは考えていないが、商品・サービスに興味がある客

この4つのタイプのうち、1をターゲットとすれば売上が上がるように思えますが、実はこのタイプは見込み顧客全体のうち1%前後しか存在しません。母数が少ないので、顧客化できたとしても、売上におけるインパクトは小さいのです。タイプ2も、すぐに購入してくれる可能性は高いですが数はかなり少ないでしょう。

3と4のタイプは、すぐには購入してくれないかもしれませんが、母数が多いため、うまく顧客化できれば、売上にも大きなインパクトがあります。このことから、集客においては、3と4の人たちに向けて情報を継続的に発信することで、商品や自社に関する信頼度を高めていき、”ファン”になってもらった上で商品を購入させられるかが重要になっています。

見込み客を集めるなら知っておきたい集客方法

先ほど紹介した、タイプ3・4の「少し興味がある程度」の見込み客を集める方法を見ていきましょう。

ネットで検索する人を対象とした集客

インターネットで何かを検索する人は、すでにその検索の対象(商品やサービス)に興味を抱いており、行動を起こしている状態です。そのため、将来的に顧客化する可能性は非常に高いと言えます。まずは、商品について検索してくれた人を確実に集客できるようにしていきましょう。

リスティング広告

1つ目の方法はリスティング広告の出稿です。リスティング広告とは、事前にキーワードを設定しておき、ユーザーがそのキーワードで検索した際に検索結果に表示させることができる広告です。

リスティング広告は、クリックされなければ費用が発生しないシステムのため、興味がある人だけにコストをかけられる点が強みです。しかし、デメリットもあり、複数の企業が同じキーワードを設定している場合、オークション形式でクリックされたときの費用が高くなっていきます。人気のキーワードであれば、1クリックあたり数百円~数千円になるケースもあるので注意が必要です。

無駄なクリックを減らすために、表示される広告文や画像に入れる文言によって属性をさらに絞り、ターゲットユーザーにだけクリックされるよう工夫する必要があります。

SEO(検索エンジン最適化)

SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略称です。SEOとは、WEBページの内容を最適化することにより、Googleなどの検索エンジンで検索したときに自社のホームページを上位に表示させることを指します。

上位に表示されることでクリックされる確率が上がり、多くの人を集客できる可能性が高くなります。上位に表示させるには、世界中のWEBページを巡回しているプログラムに、自社のページが有益なWEBサイトであると判断してもらう必要があります。ユーザにとって有益な信頼性の高い情報を提供するWEBサイトを目指しましょう。

メールを活用した集客

メールを活用した集客方法も有効です。既存の会員に自社のメルマガを配信したり、協力関係にある企業や、親しくしている取引先などのメールマガジンに広告を掲載してもらうという方法があります。

SNSの発達により、メルマガでの集客は昔ほど大きな効果は期待できませんが、購読者にしっかりと読まれているメルマガであれば一定の効果は得られるでしょう。また、通販サイトやECサイトなどで利用されているメール配信機能には高機能なものもあり、「購入を迷っていそうな商品」の在庫が少なくなった時や、カートに入ったままで保留にされている場合に最適なタイミングでメールを送ってくれるものも存在するため、導入を検討するのもよいでしょう。

アナログだが効果的な集客

実店舗がある業態の場合、近隣に住む人や道行く人にも自店の存在を認知してもらうことが重要です。近年、アプリやSNSでの集客が主流となってきていますが、アナログな集客施策の方が有効な場合もあります。地域密着型の店などは特に、ポスティングを行うと一定の効果が得られる可能性が高いです。

ターゲットがシニア層の場合は、新聞を購読している人が多いので折り込みチラシも検討するとよいでしょう。これらの方法のほかにも、立て看板・旗、バスや電車の交通広告などもあります。

SNSによる集客

ビジネスにおいても、SNSでの集客を行うことは非常に有益です。総務庁の調査によると、2020年世帯におけるスマートフォンの普及率は8割以上となっており、SNSの閲覧時間が増加し続けています。現在、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSや、YouTubeなどの動画サービスは、世界中で数十億人規模のユーザーに利用されています。

自社のサービスや商品を紹介するSNSアカウントを作成しうまく運用することで、よい評判や使用後のレビューなど、「口コミ」を拡散してもらえる可能性があります。また、もし自社のアカウントをフォローしてくれている著名人などがいれば、レビュー風の広告をしてもらうよう依頼するのも一つの方法でしょう。また、撮影や編集の機材が揃っていれば、YouTubeで自社の商品やサービスを伝える動画を投稿するという方法も検討してみてもよいかもしれません。

参考:総務省|令和元年版 情報通信白書|情報通信機器の保有状況

今ビジネスにおいて主流になりつつあるSNS集客

今ビジネスにおいて主流になりつつあるSNS集客
  • Facebook
  • Instagram
  • X(旧Twitter)
  • Youtube

ここまで紹介した手法のうち、いま最も注目すべきはSNSを利用した集客です。

以前のWEB集客は、GoogleやYahooの検索エンジンで検索するユーザーを、自社ホームページに確実に誘導する手法が中心でした。

しかし、最近のユーザーの中にはそもそも検索をしない人が増えています。SNSで自分の気になる商品やサービスを見つけ、その商品のSNSアカウントを確認します。さらに口コミもSNS上で確認し、気に入ればそのまま商品を購入するのです。このようなユーザーの購買行動に合わせるためには、SNSの集客について知っておく必要があります。

SNSの集客を始めたいならば、まずは自社のターゲットとしている顧客層がどんなSNSを利用しているのかを調査しましょう。各SNSの特徴を簡単に紹介します。

Facebook

Facebookは、BtoB(対企業)、BtoC(対消費者)のビジネス業態どちらにも利用できるSNSで、幅広い年代層のユーザーに利用されています。BtoBの場合はセミナーの案内をしたり、無料の資料ダウンロードで顧客リストを集めるために使う企業も多いです。Facebook上で投稿をするだけでなく、ユーザーの属性を指定し広告を配信することも可能。例えば、「神奈川在住の30代会社員」や「Androidを使用している大学生」など、非常に細やかにターゲットを設定して配信することができます。

参考:Web集客のはじめ方|知識ゼロから戦略を見つけて実践まで解説

Instagram

Instagramは写真や動画投稿をメインとした、世界中で利用者を急激に伸ばしているSNSです。日本でも20代から50代まで幅広い層に人気があり、女性・男性ともに利用している人が多いです。

Facebookの傘下のサービスなので、同じようにユーザー属性を指定して広告を配信できます。動画コンテンツを投稿することでユーザーの体験欲求を刺激し、新規顧客の集客に効果を発揮します。ただデメリットもあり、BtoCのビジネスでは集客しやすいものの、企業を対象にしたBtoBビジネスでの集客は効果が出にくいかもしれません。

参考:SNS集客のコツとは?集客のプロが解説する各種媒体の使い分けと集客方法

X(旧Twitter)

ニュースやトレンド情報を入手しやすいSNSです。20代のユーザーが最も多く、全体の3割を占めています。X広告(旧Twitter広告)では、ユーザーがつぶやいた言葉に関連した広告が表示されるようになっているため、ターゲット層に近いユーザーへ向けた、精度の高い広告配信が可能です。例えばX(旧Twitter)内で「サプリ 人気」で検索した場合、公開されているアカウントのツイートにこのキーワードが含まれるものは全て表示されるため、見込み顧客3や4のタイプであるターゲット層をフォローしていき、情報発信することもできます。デメリットとしては、ネガティブな情報も拡散されやすいため注意が必要です。

参考:【最新版】2020年Twitter投稿、最も狙い目のユーザー年齢層は?

Youtube

誰でも情報を発信できる人気の動画サイトです。YoutubeではPCサイトの画面上部や、投稿されている動画が閲覧される直前と再生の途中に広告を配信することができます。こちらも、サイトを利用しているユーザーの年齢や性別、住んでいる地域や興味関心などの属性を指定して広告を配信できるため、興味を持ってくれそうなユーザーへ効果的に自社の商品やサービスを認知してもらうことができます。デメリットとしては、動画を制作するのに手間がかかるので、他のSNS広告より費用や準備期間が必要な点が挙げられます。

参考:SNS集客のコツとは?集客のプロが解説する各種媒体の使い分けと集客方法

SNS集客の流れについて

自社で利用するSNSを選定したら、集客に関する最終的な目標(着地点)を決めていきましょう。着地点をもとに、SNSに投稿・配信する内容を考えていきます。「自社満足」にならないよう、ターゲット層に興味を持ってもらえる魅力的な内容にすることが重要です。

何を実行したいのか、目的を決める

まず、集客を行うことで「何をしたいのか」を考えます。例えば、「1年後には売上を20%伸ばしたい」という目標があった場合、この内容だけではまだ考察が足りません。売り上げを20%伸ばすためには、どんな状況になっていればよいのかまでを考えてみましょう。「SNSから自社サイトへの流入者を〇倍まで増加させる」等、実際の数値を交えながら具体的な状況まで考えることができれば、SNS集客の活用方針が見えてくるでしょう。

配信する内容を作成

達成したい目的を明確にしたら、投稿・配信する内容を考えていきましょう。普段から使い慣れていないと、SNSにそぐわない投稿になってしまうので注意が必要です。

情報配信の担当者は、普段から該当のSNSを使い慣れている人にお願いするとよいでしょう。どのSNSにおいても、配信・投稿した画像の品質で効果が左右されます。そのため、商品の写真を投稿する場合はできる限りプロが撮影したものを使用しましょう。配信する内容も、すぐネタ切れにならないようあらかじめ複数本用意しておくと安心です。

フォロワーを増やす

配信するコンテンツをいくつか作成したら、それを見てくれるフォロワーを増やしていきましょう。Instagramでは、投稿した内容で広告を出すことができます。自社の商品やサービスに関する投稿を広告配信することで、エンゲージメント(企業に対する親近感)を持ってくれるユーザーを増やし、フォロワーを増やしていきます。

実店舗があるビジネスの場合は、商圏内(店舗を日常的に利用する消費者が生活しているエリア)に絞り込んでフォロワーを獲得することも大切です。ハッシュタグ「#」で、商圏内や近隣のエリア名を入れて投稿しているユーザーをフォローしてみるのもよいでしょう。

継続して発信する

コンテンツを配信する場合、投稿する時間帯も気にかける必要があります。ランチタイム前の11時ごろや22時前後に投稿すると、ユーザーがSNSをチェックするタイミングと重なるため、ターゲット層の目に留まる確率が高くなります。また定期的に継続して配信することで、毎回の投稿を楽しみにしてくれるユーザー・フォロワーが増えていきます。数週間・数ヶ月あけての投稿になってしまうとアカウントをフォローしているユーザーも自社商品のことを忘れてしまいます。日々投稿内容を蓄積しておき、継続して配信できるようにしましょう。

コミュニケーションを行う

継続して投稿を行っていると、ユーザーからコメントやメッセージが届く場合があります。商品についての問い合わせや投稿した内容についての質問、お知らせしたイベント・キャンペーンについての確認など、ユーザーとのポジティブなコミュニケーションは積極的に行うとよいでしょう。コメント欄などは、問い合わせしたユーザー以外にも見られているため、親切・丁寧な回答を心がけていれば、ユーザーからの好感度はさらに高まるでしょう。

まとめ

見込み顧客の4つのタイプから、人を集めるための集客方法、特に今知っておくべきSNSを活用する集客方法について解説してきました。SNSを通して見込み顧客との距離を縮め、自社の商品やサービスのファンとなってもらうことでさらに事業を拡大させていくことができます。最新の集客手法を学び、ビジネスを成長させていきましょう。

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