商品や企業の認知度を高めるために実施されるイベント。しかし、イベントを企画・開催しても、なかなか人が集まらずに困っている企業や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。

今回は、イベントの集客を成功させるための具体的な方法やポイントを紹介していきます。

イベント企画時にまず決めておくこと

イベント企画時にまず決めておくこと
  • イベントの目的を明確にする
  • ターゲットを設定し、参加するメリットを明確にする
  • アクセスが良好な場所で行う
  • オンライン開催も選択肢

イベントの目的を明確にする

まず、イベントを成功に導くためには、イベントを行うことで得たい目的や目標を明確にする必要があります。例えば新車の発表会などは、新しい製品を多くの人に認知してもらい、次の商談へのきっかけ作りなどが目的であることが多いでしょう。

また、試乗会などを行うことにより製品を身近に感じてもらい、購入意欲を高めることが目的という場合もあります。何を狙いにイベントを開催するのか、そのための目標をどう設定するのかを考えることで、どんな内容を企画すべきなのか方向性を見出すことができます。

ターゲットを設定し、参加するメリットを明確にする

イベントを開催する目的を明確にしたら、次はイベントに来てもらいたいターゲットを設定します。自社の商品をアピールするためのイベントなのであれば、その商品のターゲット層が集客できるように計画を立てましょう。年齢や性別、職業、生活スタイルなど、利用者やお客様の人物像を具体的に考えることで、ターゲットにすべき層も明確になります。

しかし、単に「イベントを開催します」と周知するだけでは、なかなか消費者を動かすのは難しいものです。イベント内容を企画する際は、そこでしか得ることのできない体験や、来場することで得られるメリットを作り、その点を集客でも強調することが大切です。

アクセスが良好な場所で行う

イベントを開催する会場は、アクセスの良い場所を選びましょう。路線の多い駅の近くなら、多くの人が気軽に来場できます。さらに、駅直結の会場であれば天候が悪くても客足に悪影響は出ない可能性が高いです。

イベント会場が駅から何分も歩かなければいけなかったり、バスの乗り継ぎが発生したりすると、途端に客足は遠のきます。駅から遠いというだけで参加をためらう人も多いためです。イベント自体の予算にもよりますが、できる限りアクセスが良い会場を探してみましょう。

オンライン開催も選択肢

2023年現在、オンライン上で開催されるイベントが増えています。今までアプローチできなかった地方や海外の参加者も、インターネットが利用できれば気軽に参加できるというメリットが生まれました。さらに、会場を借りる費用やスタッフの人件費などをカットでき、従来のイベントよりも低コストで開催可能です。

もしオンラインイベントを開催することになった場合には、企画の段階から情報収集をしっかりと行いインターネットの整備や、利用するアプリの選定など準備を万全に整えておくことが重要です。

具体的な集客方法

具体的な集客方法
  • まずはSNSを活用
  • WEBサイト・メルマガで告知
  • 紙のDM・チラシ

イベントを開催する目的やターゲット、差別化できる内容などが決まったら、次にどんな方法で集客するかを考えていきましょう。従来の紙のチラシやダイレクトメールのほか、現代はSNSでの情報発信が主流となりつつあります。具体的な集客方法を紹介します。

まずはSNSを活用

イベントの集客では、SNSを最大限活用しましょう。どんな人でも手軽に情報発信ができるため拡散力が強く、短時間で情報が伝わります。

X(旧Twitter)やInstagramといったSNSにはそれぞれの特色があり、利用するユーザーにも違いがあります。イベントのターゲットとなる消費者が普段から利用しているSNSを選び、情報発信を行いましょう。イベントに興味を持つ人がSNS上で情報を広げてくれれば、興味を持っていなかった人も集客できる可能性が高まります。

WEBサイト・メルマガで告知

自社のWEBサイトや、定期配信しているメールマガジンなどがあればそれも活用しましょう。自社のホームページや商品に関するメルマガは、もともと自社や、自社が取り扱う商品・サービスに興味を持っている人が購読している場合が多いので、集客効果を発揮する可能性は高いです。しかし、集客をしたいばかりに何度も同じ内容を配信したり、むやみに来場をあおるような内容にならないよう注意が必要です。メールマガジン自体を解除されたり、企業への信頼度がなくなってしまったりする可能性があります。

紙のDM・チラシ

チラシや紙のDM(ダイレクトメール)などもターゲット層によっては有効です。紙媒体での集客は時代遅れのように感じるかもしれませんが、Eメールの開封率に比べると紙のダイレクトメールの開封率は80%と高めです。さらに紙のDMはスマートフォンに比べると情報が手元に残りやすく、確認したいときにすぐ取り出してそのまま他の人と共有できるため、拡散性もあります。

少しでも内容に目を通してもらうために、PCやスマートフォン上ではできない視覚効果を取り入れたり、良質な手触りの紙を使用したりと、デジタルではできない五感に響くデザインにできることもメリットです。チラシを配布する際は配布エリアや、DMを送付する場合は顧客ターゲットを絞り込んで送付してみましょう。

なお、ここで紹介している以外にも集客に使える媒体は多数あります。詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください

集客におすすめの媒体14選!集約を成功させる最大の秘訣とは

イベントを成功させるポイント

イベントを成功させるポイント
  • 参加や申し込みのハードルを下げる
  • 参加枠を細かく分ける
  • 季節性やトレンドを意識したイベントにする
  • オリジナルな内容を盛り込む

ただ単に楽しいイベントであることを伝えるだけでは、なかなか集客につながりません。イベントの内容だけではなく「条件面」も、成功の鍵を握る重要なポイントです。

参加や申し込みのハードルを下げる

もし予算が許すなら、参加料を無料にすることで金銭面でのハードルを下げることができます。金銭面だけでなく、参加予約を簡単にできるよう申し込みフォームの入力項目を少なくしたり、暑さや寒さなど障害となる要素の対策をしたりと、工夫次第で心理的・物理的なハードルを下げることにつながります。

また、来場してくれた方へのプレゼントを配布することでも集客の増加につながります。参加のハードルを上回る特典があれば集客が見込めるでしょう。

ただし、参加のハードルが下がるほど、そのイベントにまったく興味がない層まで来場してしまう可能性も高まります。そうなると、本来のイベントの目的が達成できないといった問題にもなりかねません。参加のハードルを下げたり特典をつけたりする際は、自社の損失にならないか、ターゲットユーザーが集客できるかを考えましょう。

参加枠を細かく分ける

イベントのジャンルにもよりますが、参加枠を初心者/中級者、学生枠/社会人枠などで分けることで、「自分のためのイベントだ」という意識が生まれ、参加率を高められる可能性があります。あえて参加枠を限定することによってコンセプトが明確になり、イベント内容もより良いものになります。

例えば「初心者向けのイベント」と銘打ったイベントの場合は、そのジャンルの知識や経験に自信がない人も、気にしすぎずに楽しんでもらえるでしょう。

季節性やトレンドを意識したイベントにする

1月にはお正月のイベント、4月には新社会人向けのイベントなど、季節や時季にマッチしたイベントを開催すると関心を持つ人たちが増加します。そのほか、今話題のテーマを取り上げたイベントなども注目が集まるでしょう。ただ、注意したいのはあくまでも最初に設定したイベントの目的や、ターゲット設定をブレさせないということです。最初に立てた目的を主軸とした上で、季節性をプラスするという感覚で進めると自然で良いでしょう。

オリジナルな内容を盛り込む

イベントを成功させるためには、他のイベントと差別化することも重要です。同時期に競合他社で似たイベントが行われる場合は、とくに力を入れて企画しましょう。オリジナルの内容をゼロから考えるのが難しい場合は、他業種で行われたイベントの手法を参考にすることもおすすめです。

ただし、あくまで使用されているキーワードや手法を参考にするだけにとどめ、本来のイベントテーマや内容については自社のコンセプトに沿った、オリジナルのものを用意しましょう。

イベントの振り返り・反響リサーチは必ず行う

イベント開催後は、必ず集客の効果測定やイベント内容・来場したターゲットの反応などを振り返るようにしましょう。

集客用に運用していたSNSにはどのような書き込みがされているのか、出稿した広告からはどのくらいの流入があったのか、メルマガの開封率は何パーセントかなどを集計し、計画の段階で設定した指標に当てはめていくことで振り返ります。来場した参加者へはアンケートを記入してもらい、次回のイベントに向けて参考にするのも良いでしょう。

KPT法

KPT法と呼ばれるフレームワークを使って改善をしていくこともおすすめです。KPT法とは、集計した内容をもとに、「Keep(このまま継続すること)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」の3つを洗い出す方法です。当初設定した目標に対しての振り返りをしたいので、集計やKPT法を行う際、設定していたターゲット層以外から寄せられた感想や反響は除外して問題ありません。

YWT法

YMT法もイベントを振り返る際に使われるフレームワークです。「やったこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」の頭文字をとってYMT法と呼ばれています。

イベントを開催した目的や意味、イベントの内容など、行ったことをまずまとめ、それによって判明したことやイベントの結果、その結果を得られた理由などを書き出します。最後に、ここまでの内容を踏まえて次に行うべきことを考え、これから行うべきアクションにまで落とし込んでいきます。

とてもシンプルなフレームワークではありますが、イベントを振り返り、次に何をするかを考えるうえで活用できます。

PDCA

PDCAは、改善のフローとして広く活用されているフレームワークです。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(測定)」「Action(対策)」の頭文字をとったもので、これらPDCAを順番に、かつAからPに戻るように繰り返し行っていくことで、施策の精度をあげたり問題点を改善したりすることができます。

イベントにおいては計画と実行が完了した後、その効果を測定し対策を行います。対策を施したうえで再度イベントを計画し実施すると、前回よりもさらに効果を期待できるでしょう。

何かを繰り返し行う際に有効なフレームワークなので、イベントを定期的に行う場合や何度か実施したい場合に活用できます。

イベント集客の成功事例

愛犬と一緒に参加できるイベントを企画し、集客の成功と目的達成を果たした保険会社の事例を紹介します。

イベントの目的は、自社が「ペットの保険会社であること」を世の中に認知してもらうことでした。東京都で開催されたこのイベントは、夏限定のドッグプールやドッグランの開設、さらに愛犬と食事ができるカフェも設置しました。また、プロのカメラマンが撮影した愛犬との写真をプレゼントするという企画もありました。

会場では積極的な保険勧誘などは行なわれず、唯一、社名の認知を高めるために、イベントのために開設された施設名に保険会社名を入れていたということです。

このイベントが成功したポイントは2つあります。1つめは、東京都には犬を遊ばせられるような環境が少ないため、イベントを行うことによってペットを飼うユーザーの不満を解消できたことです。2つめは、プロのカメラマンが会場で撮影したペットの写真を、公式のInstagramに掲載したことです。来場した飼い主が、公式アカウントにアップされた自分のペットの写真をシェアし、どんどん情報が拡散されていったのです。

まとめ

イベントを成功させるために、企画段階から気を付けておきたいポイントや具体的な集客方法をご紹介してきました。また、イベントは開催後の振り返りが非常に重要です。変えなくて良い部分や、改善すべき点を分析することで、次回もさらなる集客効果の向上を目指しましょう。イベントを行い、たくさんの人に商品や企業について認知してもらことで、事業自体の業績向上にもつながっていきます。

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