企業や店舗の売上をアップするためには、販売促進が重要です。しかし、「そもそも販売促進が何を指すのかわからない」「さまざまな方法があるので、どのような販促をすればよいかアイデアが浮かばない」という人も多いのではないでしょうか。

販促の効果を高めるには、販促方法ごとの正しい知識や特徴を理解しておくことが大切です。この記事では、販促の概要や目的をはじめ、具体的な販促方法の例や魅力的な販促をするためのアイデアをご紹介します。

目次

販売促進(販促)とは?

「販売促進(販促)」とは、企業や店舗が提供する商品・サービスの販売を促進し、売上につなげるための活動を指します。消費者が商品やサービスを知り興味を持つきっかけ作りを行うことで、集客力や購買率などを高めていきます。販売促進におけるアプローチには、看板やチラシなどのオフラインのアイテムを活用する方法や、SNSやホームページなどを利用する方法などがあります。

販売促進はマーケティング戦略の1つ

同じような意味を持つ言葉として「マーケティング」があります。マーケティングは、商品やサービスの開発や企画を始め、顧客やニーズの調査、販売など一連の活動を指す言葉です。よって、販売戦略はマーケティング活動の1つであり、その中でも商品やサービスの販売と、それに伴う売上の向上に特化した取り組みと言えます。

販促と営業や宣伝との違い

販促と似た言葉には他にも「営業」や「宣伝」があります。

「宣伝」は、主に企業の情報や商品・サービスについて広く知ってもらうために行う諸活動のことで、広告出稿や店舗での呼び込みなどが含まれます。商品やサービスを売り込むことを目的としている場合は、販売促進の工程の1つと言えるでしょう。

「営業」は、消費者に対して直接商品やサービスを紹介・提案し、購入の後押しを行う活動です。こちらも、販売促進の手段の1つとして捉えられる場合もあります。

販売促進の目的

販売促進を行う目的や意味は、主に以下の3つが挙げられます。

販売促進の目的
  1. 商品・サービスの認知度を向上させる
  2. 購入や消費を促進する
  3. リピーター化につなげる

販売促進の目的1:商品・サービスの認知度を向上させる

商品やサービスを売り込むためには、その存在や魅力、特徴を消費者に知ってもらう必要があります。よって、販売促進において商品・サービスの認知度を向上させることは基本的な目的の1つになります。まずは多くの人に自社の商品やサービスを広く知ってもらえるようなアプローチを行い、どのようなメリットがあるのか、どのような商品なのかを提示することで、消費者の選択肢に入ることが期待できます。

販売促進の目的2:購入や消費を促進する

消費者に購入や消費を促進することも重要な取り組みです。商品やサービスの魅力を伝えるだけでなく、割引クーポンやキャンペーンなど、顧客の購買を後押しできるような仕組みを作ることで、購買率・成約率の向上が期待できます。割引やキャンペーンには季節や期間を限定したり、購入するともらえる特典をつけたりするなど、工夫次第でより販促効果を得られるようになるでしょう。

販売促進の目的3:リピーター化につなげる

販売促進を行う対象は、必ずしもこれから新しく顧客になる層だけではありません。すでに商品・サービスを利用している人や、過去に購入したことがある人に対してもアプローチすることで、リピーターやファンになってもらうことも目的の1つです。具体的には、定期購入の仕組みやポイント制度、会員制度などを設ける施策がありますが、それだけでなくアフターサービスやカスタマーサポートなどを充実させ、顧客満足度をあげることも大切です。

オフラインでおこなう販促のアイデア5選

販促にはオンラインでおこなうものとオフラインでおこなうものがありますが、まずはオフラインの販促アイデアを5つ紹介します。

オフラインでおこなう販促のアイデア5選
  • 店舗の内装や外装でアピールする
  • 看板や旗を利用する
  • イベントを開催する
  • チラシ・新聞・雑誌で宣伝をおこなう
  • ダイレクトメールを活用する

これらのアイデアに店舗の魅力を取り入れた手法を考えてみると、オリジナリティのある効果的な販促ができるようになるでしょう。ここからは、オフラインでおこなう販促のアイデアについて詳しく説明します。

オフライン販促アイデア1:店舗の内装や外装でアピールする

1つ目は、店舗の内装や外装でアピールする手法です。特に、店舗の外装は通行人の目によく触れる部分です。外装を見たことがきっかけとなり、新規顧客の獲得につながるケースや顧客をリピーターに成長させられるケースもあります。

そのため、店舗の外装を見ただけで店舗のコンセプトが伝わるような色や素材、照明などを選ぶようにすることが大切です。メニューを見ただけでイメージできるように工夫すること、つい入りたくなるような入口にすることも、販促効果を高めるポイントだといえます。

また、内装に関しては、テーブルや食器、メニュー表や壁紙といった細かな点を店舗のコンセプトとあわせることがおすすめです。BGMや空調といった目に見えない部分も配慮することによって、顧客に与えるイメージが大きく変わります。アイデアに行き詰まったら、競合店を参考にしてみるのもよいでしょう。

オフライン販促アイデア2:看板や旗を利用する

2つ目は、看板や旗を利用することです。見ただけで店舗のイメージが湧くような看板を掲げていれば、通行人にインパクトを与え、集客力のアップが期待できます。文字の大きさや色、字体によっても通行人に与える印象が大きく変わるので、さまざまなデザインを比較しながら店舗のコンセプトに適した看板を選びましょう。

また、旗を利用することによって、店舗が伝えたい情報を効果的に通行人に伝える効果が期待できます。時期によって柔軟に内容やデザインを変更できるので、より効果的な販促ができるでしょう。旗を利用するメリットは、看板を製作する時と比較して低コストなだけでなく、設置や移動も手軽に行うことができる点です。

オフライン販促アイデア3:イベントを開催する

3つ目は、イベントを開催する方法です。販促イベントを開催することによって、商品やサービスの魅力を消費者にダイレクトにアピールすることができます。

商品のサンプリングイベントや体験イベント、製品の発表会では、店舗が手がけている商品やサービスの認知度やブランド力を高めることが可能です。とくに「一度使ってみたら良さが分かる商品・サービス」を提供する場合、イベントで消費者に使用体験を提供することで売上のアップが期待できます。デパートやスーパーなど人の多く集まる場所での実演販売イベントや試食販売イベントといったものが該当します。

消費者だけでなく、特定の企業やインフルエンサー、報道関係者といった人を対象にした販促イベントを考えるのもよいでしょう。誰をターゲットとした商品やサービスなのか、どのように情報を拡散させたいのかによって選ぶべき販促方法が変わるので、目的に応じたイベントを選ぶことが大切です。

オフライン販促アイデア4:チラシ・新聞・雑誌で宣伝をおこなう

4つ目は、チラシ・新聞・雑誌で宣伝をおこなうことです。チラシや新聞ではエリアを限定して紙という実物で情報を伝達することが可能です。ステッカーやクーポンといった特典を顧客に配布するといった施策をとることで、販促効果を高めやすくなります。

雑誌では同じ女性ファッション誌というカテゴリーでも、女子大学生と30代の女性が手に取る雑誌は異なるでしょう。そのため、効果的に販促活動を行うには、雑誌の購読者の層と、自社が提供したい商品やサービスのターゲット層がマッチしているか確認するといいでしょう。

オフライン販促アイデア5:ダイレクトメールを活用する

5つ目は、ダイレクトメールを活用することです。ダイレクトメールは、郵便やメール便を通して消費者に送付される書類です。商品やサービス、イベント案内などが記載された文書やパンフレットなどがあります。ターゲットを指定して書類を送ることができるので、反応率を計算して次回以降の販促に活かすことができます。

オリジナリティのあるデザインや同封する商品などによっては、より消費者に商品やサービスの深い情報を届け、集客力を高めることにつなげることも可能です。ただし、配布する数によってはコストが発生することや、発送してから効果が得られるまでにタイムラグが生じるというデメリットがあるので注意が必要です。

オンラインでおこなう販促のアイデア4選

消費者の情報収集にインターネットやスマートフォンが広く利用されている現代では、オンラインのツールを使った販促も重要です。オンラインの具体的な販促アイデアは以下の4つがあります。

オンラインでおこなう販促のアイデア4選
  • インターネット広告でアピールする
  • SNSを活用する
  • ホームページやブログで販促する
  • メールマガジンを送る

オンライン販促アイデア1:インターネット広告でアピールする

インターネット広告を利用すれば、年齢・性別・地域などの細かいターゲティングで特定のユーザーに店舗の情報をアピールすることが可能です。インターネット広告は効果をリアルタイムで確認できるので、よりスピーディに販促の成果を検証し、次の打ち手を考えることもできます。

ただし、インターネット上には多くの情報があふれているため、クリエイティブによってはインターネット広告が消費者の目に留まらないことも考えられます。また、インターネット広告の配信にはある程度専門的な知識が必要になり、広告の機能も頻繁にアップデートされるので、最新情報を集めるリソースを確保できるかどうかが重要になってきます。

オンライン販促アイデア2:SNSを活用する

幅広いユーザーが利用しているSNSで販促することによって、効率的に情報を拡散することが可能です。SNSを通して消費者やターゲットと直接コミュニケーションをとることも可能で、より顧客満足度の高い販促を実現できるのも魅力の1つです。

ほとんどのSNSが無料で利用できるので、コストをかけずに認知度を高められるのもよいところです。情報が拡散されれば、ほかの販促方法よりも高い集客数や売上を期待できるため、販促をするのであれば取り入れておきたいアイデアといえるでしょう。

オンライン販促アイデア3:ホームページやブログで販促する

店舗独自のホームページやブログを運営することで、広告だけでは伝わらない詳細な情報を発信することが可能です。たとえば、商品の使用感や顧客の体験談などを掲載すれば、店舗の魅力をより詳しく知ってもらうことができます。他にも、定期的に新商品やサービスなどの情報を更新することによって顧客が飽きない工夫をすれば、繰り返し商品やサービスを利用してもらえる可能性が高くなることも期待できます。

しかし、ホームページやブログには、アクセスしてもらえなければ見てもらえないというデメリットもあります。よって、ホームページへの入り口となるようなSNSやネット広告をうまく組み合わせて利用するのがおすすめです。

オンライン販促アイデア4:メールマガジンを送る

メールマガジンは、読者に対して一斉に情報を発信する販促方法。SNSで簡単に情報発信できるようになった近年でも、多くの店舗が活用しています。

具体的な送信方法には、テキスト形式とHTML形式の2種類があります。テキスト方式では、文章のみが記載されていますが、HTML形式になると文章に装飾を施すことができるため、視覚的なアプローチができます。キャンペーンのお知らせや新商品の案内をするといった情報の内容や、メールマガジンを構築する能力にもよりますが、適切な方法で作成することによって顧客とのつながりを強化することが可能です。

配信の目的としては、見込み客に自社の商品やサービスに興味をもってもらい、顧客に育成することや有益な情報を提供することです。また、既存顧客に対しては新商品の発売や今の季節におすすめしたい商品を紹介した、メールマガジンを配信します。定期的に配信を行うことで商品の再購入やサービスの継続を促します。

ただし、情報の内容や送信頻度によっては、読者がメールを開封してくれない場合や、迷惑メールとして扱われる可能性があるので注意しておきましょう。

魅力的な販促を企画するためのコツ

「魅力的な販促を企画したい」と考える場合、以下の4つのコツを参考にするのがおすすめです。

魅力的な販促を企画するためのコツ
  • まずはターゲットを明確にする
  • ターゲットの特徴にあった販促をおこなう
  • 事業方針に適した販促を企画する
  • 季節やトレンドを考えてアイデアを出す
  • 一度きりの利用にならないようなきっかけをつくる

これらのコツを意識しながら企画にオリジナリティを加えていくことで、高い販促効果を狙うことができます。ここからは、魅力的な販促を企画するためのコツについて詳しく説明します。

販促を行う前にはターゲットを明確にする

販促を企画する場合、まずは誰に対して情報を伝えたいのか、商品やサービスをいつどこで利用してほしいのかを明確にしましょう。ターゲットの立場を具体的に考えることによって、より的確にニーズを汲み取ったうえで販促を考えられるようになるからです。

ターゲットが不明確になっていると、誰にでも聞こえが良い一方で、どの顧客層に対しても購買を促進できない、ありふれた販促になってしまう恐れもあります。本当に伝えたい人に必要な情報が行き渡らなければ予算を投下しても期待していた販促効果を得られなくなる可能性があるので注意しておきましょう。

ターゲットの特徴にあった販促をおこなう

新規顧客と既存顧客によって行う販促は異なります。そのため、「新規顧客向け」、「既存顧客向け」といったターゲットごとに強みを発揮する販促を行うことが大切
です。

下記では「新規顧客」と「既存顧客」に分けて表形式で販促アイデアを紹介します。◎がおすすめの販促アイデア、×はあまり適していない販促アイデアになります。

販促アイデア/ターゲット 新規顧客 既存顧客
内装や外装でアピール
メールマガジン
商品サンプル ×
ポイントカード・アプリ ×

事業方針に適した販促を企画する

企画している販促が事業方針に適しているかという点も、魅力的な販促を考えるうえで大切な要素の1つです。販促にもさまざまな種類があるので、まずは予算や時間、社内リソースをもとに取り入れられそうな販促方法をピックアップしましょう。そして、アピールしたい内容やターゲット層、ターゲットが利用しているツールなどを考えたうえで、理想的だと思われる販促方法を選択します。

たとえば、実店舗を持つ事業の場合、新規顧客を獲得したいのであれば折込チラシやネット広告、リピート客を増やしたいのであればダイレクトメールの送付やポイントカードの導入といったように業態と目的に合わせて販促を企画するとよいでしょう。

季節やトレンドを考えてアイデアを出す

販促を毎日のように変更するのは現実的ではありません。しかし、顧客に飽きられないような店舗にするためにも、定期的に販促方法を変更することは大切です。

たとえば、季節に応じた新メニューの提案や、季節感を感じられるような旗やチラシを作成することで、トレンド感のある販促ができるでしょう。

販売促進をおこなった企業のアイデア事例

販売促進をおこなった企業のアイデアにはさまざまなものがありますが、実際におこなったアイデアを参考にすることで自社の販売促進にも役立てられるでしょう。

下記では販売促進をおこなった企業のアイデア事例を2つ紹介します。

コラボパッケージを販売しキャンペーンをおこなった事例

この販促アイデアは、インスタント食品の製造・販売会社が人気アニメとコラボして商品のパッケージを限定デザインとして販売したものです。人気アニメとコラボすることで、いつもは商品を購入しない顧客も興味を持ち、購買を促します。SNSの公式アカウントをフォローとリツイートすることで、抽選で限定グッズが当たるキャンペーンも同時に開催されました。

参考:「鬼滅の刃」コラボ限定パッケージ3品 (10月4日発売) | 日清食品グループ

SNS経由で売り上げを伸ばしたブランドの事例

化粧品メーカーがSNSを活用して実施した販促活動では、会員情報とLINEアカウントを連携させることで、効果的なセグメント配信を実現しました。セグメント配信の実現により、自社アプリのインストールや会員登録に必要な個人情報入力の手間を省き、利用者の利便性を高めました。その結果、ECサイトの売上の約3割がLINEアカウントからになりました。

参考:EC売り上げの約3割がLINE経由!LINE公式アカウントを軸にしたSABONのマーケティング戦略とは|LINE for Business

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