店舗前や路上に設置する看板は、店舗の顔ともいえるものであり、伝わりやすさだけでなく見た目にも意識をしたいものです。また、通りすがりの人に対して何の看板であるかひと目で伝わることが大切です。今回は、どのようなデザインやレイアウトにすれば、より効果的な看板になるのかを解説します。

看板レイアウトの考え方

看板を作る際は、いきなりデザインのレイアウトを考えるのではなく、どのような看板をどのような目的で設置するのか、事前によく整理をしてから取り掛かるのがおすすめです。ここではまず、看板レイアウトの基本的な考え方を解説します。

看板レイアウトの考え方
  1. 看板を設置する目的を明確にする
  2. 伝えたいことをまとめる
  3. 効果的に伝える手段を用意する

看板レイアウトの考え方1:看板を設置する目的を明確にする

看板といっても、種類は目的によりさまざまなものがあります。まずは看板を設置することで何を実現したいのか、目的を明確にしましょう。目的がはっきりしていれば、どのような看板を選ぶべきかも分かりやすくなります。たとえば、お店の認知度アップのために看板を設置するのであれば、店舗のイメージカラーやコンセプト、店名の書体などとデザインを統一させることで、見る人にもその店舗の看板であることが伝わりやすくなります。

看板を設置する目的や意味については、以下の記事でも詳しく解説しています。

看板を店舗に設置する意味とは?おしゃれな看板を設置するコツも紹介

看板レイアウトの考え方2:伝えたいことをまとめる

看板を設置する目的が決まったら、看板を使って何を伝えたいかということを簡潔にまとめましょう。デザインをレイアウトするうえでも、載せる情報の量や優先度によって、適した文字のサイズや配置などが変わります。通りすがりの人に見ただけで内容が伝わるように、一通りの情報を整理しておきましょう。

看板レイアウトの考え方3:効果的に伝える手段を用意する

看板はデザインや形状、素材にさまざまな違いがあります。伝えたい内容や設置する場所にあわせて、適した仕様の看板を選ぶことも大切です。ここまでに整理した情報をもとに、どのような見た目の看板が良いのかを考えてみましょう。

自然の雰囲気を演出するために木製の看板にしたり、繁華街のなかでも埋もれないようなデザインにしたりと、より効果的に情報を伝えられるデザインや看板の種類を選ぶことが大切です。

看板の材質 特徴
アルミ複合板 スタンダードな材質、軽くて強い
アクリル板 白や透明、光沢がある、軽くて壊れにくい
ステンレス鋼板 高級感がある、錆びにくい
木材 ぬくもり感がある、メンテナンスが必要

看板の種類や特徴について詳しくは、下記の記事もあわせてお読みください。

目立つ看板で飲食店をアピールするコツや看板の種類ごとの特長を紹介

おしゃれで目を引く看板レイアウトを作成するコツ

実際に看板のデザインやレイアウトを考えていく段階に入ったら、フォントや色、情報の配置の仕方などに気を配りましょう。おしゃれで目を引くような看板にするには、いくつかのレイアウトのコツをおさえることが重要です。ここではレイアウト例も紹介しながら、看板レイアウト作成のコツを紹介します。

おしゃれで目を引く看板レイアウトを作成するコツ
  • デザインの方向性に沿ったフォント(書体)を選ぶ
  • 伝えたい情報や店舗のイメージにあった色を選ぶ
  • 視線誘導の法則を意識する
  • 余白をうまく使う
  • 看板レイアウトの例

デザインの方向性に沿ったフォント(書体)を選ぶ

フォント(書体)はデザインの方向性を左右する要素の一つで、文字を読ませたい看板においては特によく考えて選ぶことが大切です。

たとえば、より目立つデザインにしたいのであればゴシック体のように縦線と横線の太さがほぼ同一で、はっきりとしたフォントがおすすめです。ハネやはらいといった筆文字のような表現がされている明朝体は、高級感や和風の印象を与えたい場合などに活用できます。

伝えたい情報や店舗のイメージにあった色を選ぶ

色も看板や店舗のイメージを左右する大きな要素です。店舗やブランド、商品のイメージカラーを取り入れるほか、デザインの内容にあわせて目立つ色や調和する色を選びましょう。

色そのものがもつ印象や特徴も違いがあるので、それらをうまく使うことがおすすめです。たとえば、赤や黄、オレンジなどの「暖色」は、あたたかさ、親しみやすさといったやさしい印象を与えやすいとされています。また、活気や情熱といった力強い印象も与えることが期待できます。反対に、青や紫といった涼しさを感じる「寒色」は、清潔感や落ち着き、冷たさといった印象を与えます。

また、単色だけでな色の組み合わせによっても印象は大きく変わります。配色を誤ると文字が見にくくなることもあるので、選び方には注意が必要です。目立つ色の組みあわせについて詳しくは、下記の記事もあわせてお読みください。

目立つ色の組み合わせは?看板などで目を引く色の選び方を解説

視線誘導の法則を意識する

「視線誘導の法則」とは、看板を見る人の視線の流れをうまくコントロールして最も伝えたい情報へ視線を誘導させる手法のことを指します。視線誘導の主な視線パターンには「Z型」「F型」「N型」の3つがあります。

デザインに配置する文字をZやF、Nの形に沿って読めるようにすることで、店舗側が意図した順番で情報を伝えやすくなります。見る人にとっても看板に書かれていることを自然に読みとりやすくなります。

▼Z型の視線誘導を行っている看板レイアウトの例
Z型の看板レイアウト
▼F型の視線誘導を行っている看板レイアウトの例
F型の看板レイアウト

余白をうまく使う

「余白」は、レイアウトの余りや印刷時の端の部分というだけではなく、意図的に空間をつくることによってレイアウトをきれいに見せる目的で使われます。

たとえば、文字や素材に対して余白を多くとってシンプルにレイアウトすると、落ち着きのある洗練されたデザインになりやすいです。反対に余白を少なくしたり、余白をとらずにデザイン要素を多めにしたりすることで、勢いやインパクトのある賑やかなデザインとなります。

なお、余白を取るために必ずしも線や囲いを作る必要はありません。文字の並びや画像の端など、配置している各要素の上下左右を整列させることで、要素同士の余白を囲うようなレイアウトが可能です。ただし、看板の場合は設置する際のフレームの枠幅を考慮して余白を取りましょう。フレームなど看板の仕様を意識せずにデザインを作ってしまうと、実際にフレームにはめた際に文字が隠れてしまうことがあります。よって、レイアウトが全て実際に見える領域である「見え寸」に注意してレイアウトを進めましょう。

看板レイアウトの例

ここまで解説した内容を踏まえて、看板レイアウトの一例を紹介します。

余白を使った看板レイアウト

それぞれ、店舗名やロゴ、取り扱い商品、電話番号など、その看板で伝えたい情報が目立つように配置されています。また、周囲に十分な余白を取ったり、店舗情報と店舗名を別のグループとしてまとめて見せたりすることで、全体のバランスを取っています。

看板レイアウトを考えるうえで注意点

ここまで、看板レイアウトについてのコツや材質選びなどを紹介してきましたが、レイアウトするにあたって注意しなければならない点が大きく2点あります。実際にデザインを作成する際に意識しておきましょう。

文字だけで説明しようとしない

看板は文字情報を伝えるために設置することが多いですが、すべての情報を文字だけで伝えるべきかどうかはよく考えましょう。たとえば飲食店の場合、おすすめメニューを文字だけで説明しようとすると、目にした人がイメージする料理と実際に提供される料理が異なってしまうかもしれません。また、文字だけでは実際のイメージが伝わりにくく、興味を持ってもらえない可能性もあります。この場合は、写真やイラストを加えて視覚的にも分かりやすい見せ方にするのがおすすめです。

飲食店の看板以外でも、文字以外のロゴやイラスト、記号などをうまく取り入れることで一目で分かりやすいデザインになるケースは多くあります。文字で書いた方がいいのか、代用できるものがあるかを考えながら配置する要素を選定しましょう。

情報量を多くしすぎない

通りすがりの人が看板を目にするのは、1秒未満といわれています。1秒未満で何が目に留まるかを考えると、それほど多くの情報量を詰め込んでもすべてを読んでもらうのは難しいでしょう。そのため、デザインを整理してシンプルにまとめ、通り過ぎる人には最低限の情報だけが伝わるようにするのがおすすめです。仮に情報量が多い場合でも、サイズや配色で強弱を付けることで、足を止めた人には詳しい情報も見てもらえるようにするとよいでしょう。

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