企業が提供する商品やサービスに対して興味や関心を持ってもらうには、インパクトのあるアプローチが大切です。特に、広告やメニューなど、文字で顧客にアピールしたい場合は、見ただけで即座に内容が伝わる「キャッチコピー」をつくるのが重要です。

しかし、「どうすれば顧客の心に刺さるキャッチコピーを考えられるのだろう」「キャッチコピーのアイデアが出ない」と疑問や悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、キャッチコピーの概要や考える際の下準備、キャッチコピーを魅力的にするテクニックやアイデア出しに困った際の対処方法について説明します。

そもそもキャッチコピーとは?

そもそも、マーケティングにおけるキャッチコピーは、「商品やサービスの広告において顧客を惹きつける文言」のことで、英語ではなく日本でつくられた言葉です。

キャッチコピーに文字数や内容といった決まりはありませんが、どのような言葉でアピールするかによって、商品やサービスの認知度や売れ行きが変わるため、慎重に考える必要があります。

キャッチコピーを作成することで得られる効果

商品やサービスを提供する際に、キャッチコピーを作成することで消費者の興味を引き、購買意欲向上の効果が期待できます。企業の伝えたい情報やイメージをキャッチコピーに用いることで、他社との差別化や自社の商品やサービスに付加価値をつけやすくなるでしょう。また、記憶に残るキャッチコピーは、認知の拡大、ふと思い出した時や店頭で見かけた時に手にとってもらえる可能性が高まります。

キャッチコピーの考え方

キャッチコピーの考え方
  1. 誰に何を伝えるかをはっきりさせる
  2. 自社の強みを明確にする
  3. 検索キーワードやボリュームを意識する
  4. ターゲットにしてほしい行動を決める

顧客の心に刺さるキャッチコピーを考えるためには、どのようなことに意識すればよいのでしょうか。下記では、キャッチコピーの考え方について3つ説明していきます。

誰に何を伝えるかをはっきりさせる

キャッチコピーを作成するときに、企業の目線だけで考えてしまうと顧客に対してインパクトを与えられなくなります。そのため、まずは「誰に何を伝えたいのか」をはっきりさせなければなりません。

キャッチコピーを伝える相手をはっきりさせるには、商品やサービスを購入してもらいたいターゲットを詳細に設定することが大切です。

たとえば、顧客関係管理を自動化させるツールを販売する企業の場合、ターゲットは「マーケティング担当者」や「営業部門のマネジメント担当」などに設定できます。

もし、ターゲット像を「企業のマーケティング担当を任せられたばかりの職員」にするのであれば、「マーケティング初心者でも手軽に扱えるツールであることをアピールする」といった内容が伝わるキャッチコピーを考えると、興味を持たれやすいでしょう。

自社の強みを明確にする

キャッチコピーを見た顧客の興味や関心を高めるには、自社や販売している商品の強みを明確にすることも大切です。自社の強みを分析するには、「QPC分析」を活用するのがおすすめです。

この方法は、次の3つの視点で自社の強みを分析します。

  • 品質:Quality
  • 価格:Price
  • 利便性:Convenience

先ほどの顧客関係管理を自動化させるツールで「QPC分析」をすると、次のような強みを発見できます。

  • 品質:マーケティング業務に必要な機能が一通り揃っている
  • 価格:1ヵ月は無料体験でき、その後も他社より割安で利用できる
  • 利便性:ITツールに慣れていない人でも簡単に使いこなせる

これらの強みを活かしてキャッチコピー作りを行うことができれば、問い合わせや申し込みといったアクションにつなげやすくなります。

検索キーワードやボリュームを意識する

キャッチコピーを自社のWebサイトに掲載するタイトルとして活用するのであれば、その文言は基本的に検索エンジン上でそのまま表示されます。

Googleなどの検索結果上で、より多くのユーザーを呼び込むには、顧客に検索されやすいキーワードをキャッチコピーに盛り込むことが大切です。

たとえば、「マーケティングソフト」と「マーケティングツール」は似たような言葉ですが、検索エンジンに入力してみると、それぞれ異なる検索結果が表示されます。

タイトルに特定のキーワードを入れておくと、そのキーワードで検索した際に検索結果上に表示されやすくなります。

自社がマーケティングソフトを販売しており、「マーケティングソフト」と検索した際に検索結果に表示させたいなら、タイトルにも「マーケティングソフト」の文言を入れておいたほうがよいでしょう。

ターゲットにしてほしい行動を決める

キャッチコピーを考えるときは、企業や商品をアピールすることでターゲットにどのような行動をしてほしいか決めておきます。ターゲットにしてほしい具体的な行動は下記のようなものが挙げられます。

  • 企業や商品の名前を知ってほしい
  • どのような行動・企業活動をしているのか知ってほしい
  • 商品やサービスの特徴を知ってほしい
  • 購入してほしい

ターゲットにしてほしい行動を決めておくことは、フレーズやキャッチコピーによって、どのような情報を伝えたいのかを考えるうえで大切な要素となります。そのため、具体的な行動や得られる効果をイメージしておくことは必要でしょう。

キャッチコピーを魅力的にするテクニックとは?

ここまでは、キャッチコピーを考える際の下準備について説明しました。下準備が整ったら、それらをもとにキャッチコピーを考えます。魅力的なキャッチコピーを考えるには、次のテクニックを活用するのが効果的です。下記では、キャッチコピーを魅力的にする6つのテクニックについて詳しく説明します。

リズム感を意識してなるべく短くする

顧客の心に残るキャッチコピーを作成するには、リズム感を意識するとともに、端的に伝える必要があります。短時間で読めて思い出しやすいキャッチコピーであるほど、顧客に長く商品やサービスのイメージを持ってもらえるからです。

キャッチコピーの文字数としては、20文字程度にするのがおすすめです。20文字で収まらない場合、顧客に与える印象が薄まらないように、長くても40文字以内に収めましょう。

たとえば、飲食店であれば「うまい、安い、早い」のように、韻を踏んだりリズム感のよい言葉を設定すると、キャッチコピーの文言が短時間で頭に入るだけでなく、商品を購入したときに得られる感覚やサービスを利用したときの様子までイメージできます。

数字を活用して具体的なイメージを掴んでもらう

先ほどのキャッチコピー例は文字だけで表現しましたが、文中に数字を入れると、商品やサービスに対して、より具体的なイメージを持ってもらえます

同じ飲食店を例にすると、「おかげさまで累計100,000杯達成」「1杯280円と圧倒的低価格で提供」のようにすると、「多くの顧客から支持されている商品」「お得に食事ができる店舗」といったイメージを与えられます。

ほかにも、売上や来客数、店舗数や日時など、活用できる数字はたくさんあるので、業種や商品・サービスの種類、キャンペーン期間や事業規模などにあわせて適切な数字を選んでキャッチコピーに盛り込みましょう。

意外性のあるフレーズで顧客の好奇心をくすぐる

企業が魅力的だと考えて設定したキャッチフレーズでも、それが競合と差別化できるものでなければ顧客にインパクトを与えられない可能性があります。

「この企業の商品やサービスを購入しよう」と思ってもらうには、常識から外れるような意外性のあるフレーズを盛り込み、顧客の好奇心をくすぐることも大切です。

たとえば、「高級店で出てきそうなフレンチコースが2000円」「受付もレジも無人化!人と対面せず利用できる回転寿司」といった内容が挙げられます。キャッチコピーで他社と差別化できれば、より多くの顧客を呼び込めるでしょう。

オノマトペを盛り込む

顧客に商品やサービスについてより鮮明なイメージを持ってもらうには、「オノマトペ」を盛り込むのも効果的です。オノマトペとは、「ジュージュー」「グツグツ」といった音を表現する擬音語や、「ほかほか」「すっきり」といった情景を表現する擬態語のことです。

具体例として「丸1日ぐつぐつ煮込んだ、トロトロのビーフシチュー」「土鍋で炊いた!もっちりツヤツヤのごはん」のように、「美味しそう」「食べてみたい」と思わせる文言が挙げられます。キャッチコピーで注意を引くには、一目で顧客の感情に訴えかける言葉を盛り込むのも大切です。

強調する言葉を使う

同じ意味を持つ言葉でも、強調する言葉を使うとさらに顧客の心に刺さりやすくなります。たとえば、次の言い回しが考えられます。

  • 安い→「年に一度のご奉仕価格」「メガトン級の激安プライス」
  • おすすめ商品→「店長イチオシ」「見逃せない逸品」
  • たくさん売れています→「注文殺到」「「買ってよかった」の声、続々」

特に、値段の安さのようにお得感が伝わる言葉は、顧客の興味や関心を高めやすいので上手く活用するとよいでしょう。

心理学のテクニックを使う

人間の判断は、意識的な思考だけでなく、先入観や思い込みのように無意識にはたらく心理が影響する場合があります。これをキャッチコピーにうまく活用すれば、意図的に顧客の興味や関心を高められるでしょう。

たとえば、コピーの冒頭に「業界最大級」「売上トップ」といった言葉を盛り込めば、読者に「この商品は多くの顧客に支持されているんだ」という印象を持たせたまま読み進めてもらいやすくなります(アンカリング効果)。

「40代男性の8割が一度は利用している」のような言葉を使うと、「ほかの人が利用しているなら自分も利用してみよう」といった感情を持ってもらいやすくなります(同調効果)。

顧客の行動に影響を与える心理効果はたくさんあるため、企業の目的に適した心理効果を活用しましょう。

キャッチコピーのアイデア出しに困ったら?


人によっては、「どれだけ考えてもキャッチコピーのアイデアが出てこない」と悩むかもしれません。キャッチコピーのアイデア出しに困ったら、次の方法を試しましょう。下記では、キャッチコピーのアイデアに困った時にはどのようにすればよいかについて詳しく説明します。

既存顧客の声を分析する

キャッチコピーのアイデア出しに困ったら、何度もリピート利用してくれているような既存顧客の声を分析してみましょう。

繰り返して定期的に利用する背景には、商品やサービスを気に入るポイントがあるはずです。その理由を明確にすれば、強みの発見につながり、キャッチコピーに活かせます。

既存顧客の声を把握する方法として、「アンケート調査」「ヒアリング」などが挙げられます。また、現場で働いているスタッフに話を聞くという方法もあります。これらの手法で顧客の心理状態をつかめば、刺さるキャッチコピーのアイデアが浮かびやすくなります。

口コミやレビューを分析する

顧客や販売担当者から得られる情報は、信頼性が高いものの、集められる量が限定的です。集められる情報が多いほど、多くの顧客に響くキャッチコピーを考えやすくなるので、電話、メールなどを活用し口コミやレビューを集めるのも方法の一つです。

たとえば、購入した人への電話調査で「40代向けの化粧品と書いてあったけれど、娘や母親も気に入っている」といった意見が多いということが分かれば、「何歳でも使える化粧品」「世代を問わず人気の化粧品」のような言葉をキャッチコピーに含めることで、より多くの顧客層にアピールできます。

競合や関連商品のキャッチコピーを参考にする

アイデアが浮かばないときは、競合他社や関連商品を販売する企業のキャッチコピーを参考にするのもおすすめです。

もし他社が「価格の安さ」をアピールしていれば、市場に「安く手に入れたい」と考えている顧客がいて、一定の支持を集められている可能性が高いです。「保湿力の高い化粧水」といった内容をキャッチコピーに盛り込んでいる場合は、高い保湿力を求める顧客が多いと予想できます。

もちろん、他社のキャッチコピーをそのまま使うのは避けるべきです。しかし、文言を参考にしつつ自社の強みを盛り込んだキャッチコピーを作ることができれば、競合との差別化を図りつつ顧客の心に刺さるアピールができます。

なお、マネケルでは販促や集客に使えるキャッチコピー&フレーズの例文100選をまとめた無料の例文集をご用意しています。下のボタンからぜひダウンロードしてみてください。

まとめ

ここでは、キャッチコピーの概要や考える際の下準備、キャッチコピーを魅力的にするテクニックやアイデア出しに困ったときの対処方法について説明しました。

顧客の興味・関心を高め、集客や売上につながるキャッチコピーを考えるには、アンケートやヒアリング、アクセス解析ツールなどを活用して反応を分析し、改善させることも大切です。ここで説明した内容を参考にして、企業の強みを活かしたオリジナリティあるキャッチコピーを設定しましょう。

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