ソーシャルリスニングとは、ソーシャルメディア上における一般消費者の会話を収集・分析し、マーケティング戦略に活かすことです。SNSの普及に伴い、一般消費者のリアルな声を知れる方法として注目を集めています。

しかし、ソーシャルリスニングを行うにあたっては、特徴や活用方法などを押さえておく必要があります。そこで今回は、ソーシャルリスニングを行うメリット・デメリットや具体的なやり方、成功させるコツなどを紹介します。

ソーシャルリスニングとは?

ソーシャルリスニングとは、ソーシャルメディア上の消費者による投稿などを収集・分析してマーケティング戦略に役立てることです。自社製品に対するリアルな評判を知れるソーシャルリスニングは、商品開発・改善、リスク管理、広告宣伝施策など幅広いシーンで活用されています。

従来、消費者の声を知る施策として、主にアンケート調査が用いられてきました。しかし、アンケート調査は質問に対しての回答となるため得られる情報が限定的であったり、率直な意見を書きにくかったりするケースが少なくありませんでした。その一方、ソーシャルリスニングは消費者の自然な会話を傾聴するため、消費者のよりリアルな声を集めやすいという利点があります。

ソーシャルリスニングを行うメリット

企業がソーシャルリスニングを行うことで得られるメリットは主に5つあります。

ソーシャルリスニングを行うメリット
  1. 市場の動向を知れる
  2. 消費者のリアルな声を知れる
  3. キャンペーンやプロモーションの反響を知れる
  4. 風評被害などのリスク管理ができる
  5. 競合分析ができる

市場の動向を知れる

ソーシャルリスニングを行うメリットは、市場の動向がわかることです。特定のキーワードを含む会話を収集して紐解くことで、その市場の動向を把握できます。たとえば、特定の商品・サービス名や業界名などをキーワードとして調べれば、そのキーワードに対する消費者の評価や求めていることなどを把握できます。

また、同一キーワードを定期的に傾聴すれば、投稿数の増減や消費者の感情の変化などから、消費者や市場全体の動向を把握することも可能です。

消費者のリアルな声を知れる

ソーシャルリスニングでは、消費者の自然な会話を傾聴するため、消費者のリアルな声を知れるというメリットがあります。

消費者の声はアンケート調査やお客様センターなどを通して得ることもできますが、得られるニーズや情報は限定的です。また、「内容を企業に見られる」という意識が働くことから、消費者は正直な意見を伝えにくいケースもあります。

その一方、SNSでは多種多様な人々が個人の意見や感じたことを自由かつ正直に日々発信しています。このような自然な会話を収集し、分析を行うことで、これまでにないほどリアルな消費者の声を知ることが可能です。

キャンペーンやプロモーションの反響を知れる

自社が行ったキャンペーンやプロモーションの反響を把握できることも、ソーシャルリスニングのメリットの1つです。

上述したとおり、SNSは一般消費者が日々感じたことが投稿される場です。そのため、ソーシャルリスニングは、インターネット広告やテレビCMなど、自社のプロモーションに対して消費者が受けた印象を知る手法として適しています。

プロモーションの反響をリアルタイムで知ることができるので、クリエイティブや訴求内容の変更など、反響に応じてPDCAサイクルを早く回すことが可能になります。

風評被害などのリスク管理ができる

ソーシャルリスニングを活用することは、風評被害などのリスク管理にもつながります。

SNSは消費者が自由に情報を発信する場であると同時に、消費者が情報収集をする場でもあります。そのため、SNSにおける自社の印象を把握しておくことが大切です。たとえば、自社に関する誤った情報や誹謗中傷などが出回っている場合は、早急に対応しなければなりません。

ソーシャルリスニングを行い定期的にリスク検知を行えば、消費者が自社や自社商品・サービスに対してもつイメージや口コミなどをリアルタイムで把握できます。その結果、風評被害などのリスクを未然に防ぐことにつながります。

競合分析ができる

ソーシャルリスニングは、自社とは直接関係ない情報まで幅広く分析することで、競合分析にも役立ちます。たとえば、競合ブランドの商品・サービス、プロモーションなどに対する消費者の声を収集して業界のトレンド傾向を把握したり、分析結果を紐解いて自社の戦略に反映したりできます。

ソーシャルリスニングを用いた競合分析により、競合他社に勝つための自社商品・サービスの差別化を強化することが可能になります。

ソーシャルリスニングを行うデメリット

ソーシャルリスニングを行うにあたっては、デメリットも把握しておくことが大切です。主な注意点は以下の2つです。

ソーシャルリスニングを行うデメリット
  1. 消費者の属性が判断できない
  2. 情報が多く、精査が難しい

消費者の属性が判断できない

一般消費者のリアルな声の収集に適したソーシャルリスニングですが、ユーザー属性の特定が困難である点はデメリットだと言えます。

SNSは匿名で利用しているユーザーが多く、プロフィール情報が記載されていないことも珍しくありません。職業や興味関心などの細かな情報だけでなく、年齢や性別などの基本情報についても取得できない可能性が考えられます。

そのため、アンケートやお客様センターといった従来の手法と比べて、情報発信者の属性が判断しにくい傾向があります。

情報が多く、精査が難しい

ソーシャルリスニングのデメリットとして、得られる情報量が多すぎることから精査が難しい点が挙げられます。

多くの人が利用するSNSの中から、自社が求めるデータをピンポイントで摘出するのは容易ではありません。また、特定のキーワードで調べたとしても不必要な情報が多く紛れ込んでしまったり、同じキーワードでも人や使われる状況によって意味合いが異なったりすることも考えられます。

このように、SNS上の膨大なデータから必要な情報を収集するには、一定以上のコストや労力がかかることを把握しておく必要があります。

ソーシャルリスニングのやり方

では、実際にどのようにしてソーシャルリスニングを始めればいいのでしょうか。主なやり方は大きく分けて2つあります。

  • ツールを活用して分析を行う
  • 検索機能を使って調べる

ツールを活用して分析を行う

ソーシャルリスニングを行う方法の一つ目は、専用ツールを使用する方法です。専用ツールはソーシャルリスニングに必要な機能を搭載しており、膨大な情報の収集から分析までを効率良く実行できるのが特徴です。

ソーシャルリスニングには有料で使えるツールと無料で使えるツールがあり、ニーズに合わせて選ぶ必要があります。一般的には、有料ツールのほうがより高度な機能を搭載していて、手間を省いて精査できる傾向にあります。

おすすめ有料ツール「Meltwater」(PR)

ソーシャルリスニングを行うときにおすすめの有料ツールは、「Meltwater」です。

Meltwaterは、世界中のメディアを分析できる機能やSNSを管理できる機能を備えたツールを提供するノルウェー発の会社です。ソーシャルリスニングでは、主要SNSやニュース媒体、掲示板サイトなど膨大なメディアをモニターし分析できます。傾聴で得られた情報は、一つのプラットフォームで管理することができ、複雑な比較分析、カスタマイズにも対応しています。

高性能なソーシャルリスニングツールで、膨大な情報を傾聴し精査を行いたい企業におすすめです。

おすすめ無料ツール「Googleトレンド」

Googleトレンドは、Googleが提供する無料のトレンド確認ツールです。Google検索やニュース、YouTubeでトレンドになっているトピックについて、どのくらい検索されているかを調査することができます。期間を指定してトレンドの推移を分析したり、「調べる機能」で検索結果を視覚的にわかりやすく表示したりすることも可能です。

有料ツールと比較すると調査精度は劣るものの、大きなトレンド把握に役立つツールです。
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検索機能を使って調べる

ソーシャルリスニングは、各ソーシャルメディアやインターネット上の検索機能を使っても行うことができます。ソーシャルリスニングに特化したツールと比較すると機能の精度が劣っていたり、必要な情報を効率的に収集できなかったりしますが、無料で手軽に利用できる点はメリットです。

たとえば、X(旧:Twitter)では、通常の検索機能に加えて「高度な検索」を利用可能です。検索バーにキーワードを入力し、検索フィルター内にある「高度な検索」をクリックすることで、単語やユーザー名、地域、日付を指定して投稿を絞り込むことができます。

ソーシャルリスニングを小規模から始めたい方や、無料で試してみたい方は、まずはメディアの検索機能を活用してみましょう。

ソーシャルリスニングを集客に活用する方法

ソーシャルリスニングを集客に活用する具体的な方法を2つ紹介します。

  • ポテンシャルのある市場を見つける
  • 収集した口コミや評判を商品改良に活かす

ポテンシャルのある市場を見つける

ソーシャルリスニングは、ポテンシャルのある新たな市場を見つけるのに役立ちます。

ソーシャルメディア上で特定の興味やニーズをもつ消費者の会話を傾聴することで、新たに参戦可能な市場の存在や需要を把握することが可能です。また、競合他社に関する情報を収集すれば、市場動向も正確に把握できます。

ソーシャルリスニングは市場調査において強力なツールであり、ポテンシャルのある市場を見つけ、スムーズに参戦するのに役立ちます。

収集した口コミや評判を商品改良に活かす

ソーシャルリスニングは、一般消費者のリアルな口コミ・評判を把握することで、商品改良に活かすことが可能です。

これまでのアンケート調査やお客様センターでは把握しきれていなかった消費者の隠れたニーズを知ることで、商品改良や開発、サービスの向上が可能になります。消費者のニーズや要望に応える商品・サービスを提供することは、顧客満足度の向上にもつながります。

ソーシャルリスニングを上手に活用し、顧客とのコミュニケーションを通じてビジネスの成長へとつなげましょう。

ソーシャルリスニングを成功させるコツ

ソーシャルリスニングを成功に導くためのコツを3つ紹介します。

ソーシャルリスニングを成功させるコツ
  1. 目的を明確にする
  2. 適切なキーワードを選ぶ
  3. 多角的に分析をする

目的を明確にする

ソーシャルリスニングを行うにあたっては、目的を明確にしましょう。

「市場の動向把握」「プロモーションの効果測定」「リスク管理」など、ソーシャルリスニングの目的によって、キーワードの選定方法や使用ツール、調査結果の落とし込み方法などが変わってきます。

ただ単に消費者の声を集めるだけでは、コストや労力に見合った効果を得られない恐れがあります。事前にソーシャルリスニングを行う目的を明確にしたうえで、調査を始めましょう。

適切なキーワードを選ぶ

ソーシャルリスニングを成功させるには、適切なキーワードを選定することが重要です。ソーシャルリスニングでは、膨大な投稿の中から特定のキーワードを含むものを収集しデータ化していくため、キーワード設計が成否を大きく左右します。

たとえば、自社のイメージを調査したい場合、自社に関する投稿すべてを分析対象とする必要があるため、企業名単体をキーワードとして選択する必要があります。また、炎上リスクの発見や仮説の検証などを目的にソーシャルリスニングを行う場合は、企業名や商品名に加えて、適切なキーワードを組み合わせる必要があります。

キーワードは得られる情報や分析結果に大きく影響するため、慎重に選定しましょう。

多角的に分析をする

収集したデータを多角的に分析することも、ソーシャルリスニングを成功に導くためのポイントです。

ソーシャルリスニングで得られた情報をマーケティング戦略に活かせるかどうかは、分析スキルにかかっています。たとえば、時系列データを注意深く分析すればトレンドの変化を、消費者の感情や態度を分析すれば商品の改善点を紐解くことが可能です。

高度な分析を行いたい場合は、ソーシャルリスニング専用ツールを活用すると便利です。自社のニーズに合ったツールを活用し、多角的な分析を心がけましょう。

まとめ

今回は、近年注目を集めているソーシャルリスニングの概要やメリット・デメリット、具体的な活用方法などについて解説しました。

ソーシャルリスニングは、一般消費者のリアルな声を把握するのに役立つ手法で、集客、商品開発・改善、リスク管理、広告宣伝施策など幅広いマーケティング戦略に活かすことができます。

Meltwaterが提供するソーシャルリスニングツールを活用すれば、手間を省いて高精度な分析が可能です。自社の目的やニーズに合わせたツールを活用し、ソーシャルリスニングをビジネスに役立てていきましょう。

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