自社の商品やサービスの売上を向上させるためには、顧客を呼び込んで興味を持ってもらうための「集客」が必要です。とはいえ、なかなか成果が出ずに困っているという方も多いのではないでしょうか。今回は、集客の概要からうまくいかない理由や解決策、オンライン・オフライン集客方法の種類、効率よく集客するポイントなどを解説していきます。

集客とは


集客とは、商品やサービスを提供するビジネスにおいて「実店舗や自社のWEBサイトに顧客を呼び込む活動」を指します。より魅力的な商品を開発するための顧客ニーズ調査や、WEB広告、SNS、チラシなどを使った商品の宣伝などが、その具体的な活動の一部です。

集客の重要性

売上は集客数に比例します。よって集客は、自社の経営や成長に直結する重要な要素と言えるでしょう。

モノが溢れ豊かな生活を実現している現代においては、いくら質のよい製品やサービスを提供したとしても、それだけで顧客を獲得し、十分な売上を出すのは難しいものです。だからこそ、できるだけ多くの人に自社の商品やサービスの良さを知ってもらい、実際に店舗やサイトを訪れてもらえるような取り組みを行う必要があります。

また興味を持ってもらった商品を実際に購入してもらうためには、自社の強みを明確に伝え、他社と差別化された独自の魅力を発信し続けることも必要になるでしょう。そうして得た顧客が増えれば増えるほど、自社の売上にもつながりやすくなります。

集客とマーケティングの違いは?

集客はマーケティング戦略の一部です。

マーケティングとは、商品やサービスの価値を高め、ターゲットに適した形で届けるための販売戦略や施策全般を指す言葉です。具体的には市場調査やリサーチ、商品企画、ブランディングなど、その活動は多岐にわたります。

マーケティングの中でも重要な工程である「商品やサービスを顧客に届ける」という段階に、集客は位置しています。

集客がうまくいかない理由と解決策

集客のためにさまざまな施策を試していても、安定した成果がみられないという企業も多いのではないでしょうか。まずは集客が上手くいかない原因を分析し、その後、解決策を考えていきましょう。

集客がうまくいかない理由と解決策
  • ターゲット設定が明確ではない
  • 集客を行う媒体がターゲットとマッチしていない

ターゲット設定が明確ではない

顧客のニーズが多様になった現在、より細かい顧客像を基にしたマーケティングが必要です。集客がうまくいかない場合、そのターゲット設定やペルソナの設定がぼんやりしている可能性があります。

たとえば、「肌に悩む人におすすめ」という訴求で無差別に大勢の人に呼びかけても、あまり多くの反応は期待できないでしょう。ですが「30代前半、そろそろ肌のハリが気になる主婦におすすめ」という具体的な訴求であれば、当てはまる人の注意を引ける可能性が高まります。このように、顧客自身が「自分のことだ!」と思えるような独自性のある訴求をするためにも、ターゲット設定は具体的で明確にするのが好ましいです。

さらに顧客像を明確にするためには、ターゲティングよりも一歩踏み込んだ「ペルソナ」を設定することをおすすめします。ペルソナとは、趣味や価値観、パーソナリティーを持った架空の人物像のことです。

たとえば、新しく提供するサービスのターゲットを「都内に住む会社員の30代未婚男性」と設定したとします。しかしこの情報だけでは、プロジェクトメンバーの頭に浮かぶ利用者の詳細イメージはバラバラになってしまう可能性が高いでしょう。

そこで、ペルソナを設定します。Aさん(32歳)独身、趣味はゴルフ、年収は400万円、好きな食べ物はハンバーグ…というように、実際に存在する人間のレベルにまでイメージを具体化しましょう。細かくペルソナを設定することで、ターゲットの詳細なイメージを共有しやすくなります。

集客を行う媒体がターゲットとマッチしていない

集客がうまくいかない原因として、設定したターゲット層やペルソナと、実際に集客を行っている媒体が合致していない可能性も考えられます。

たとえば、40代女性向けのスキンケア商品を販売したいのに、男性誌に広告を出したとしても、思ったような結果は得にくいでしょう。この例は非常に極端ですが、実際に自社が集客をしている媒体が、普段どのようなユーザーに見られているのかを即答できないというケースは、決して少なくありません。せっかく予算をかけて集客をしているのに効果が見られないという場合は、その媒体がターゲット層やペルソナとしっかりと合致しているか、改めて確認し直してみましょう。

オンライン集客方法の種類

それでは実際に集客を行う方法について、まずはオンラインの方法からご紹介します。

・WEB広告
WEB広告は、Googleなどの検索サイトや各種SNSなどに広告を出稿する方法です。リスティング広告やディスプレイ広告などいくつか種類がありますが、いずれも不特定多数のユーザーにアプローチでき、短期間で効果を出しやすいのが魅力です。

・SNSの運用
InstagramやTikTokなどのSNSを運用し、集客につなげる方法もあります。自社や商品に興味を持つ顧客と直接やり取りできるため、ブランドイメージの向上などにも役立ちます。拡散性のあるSNSを使えば、コストをかけずに情報を広く届けられる可能性もあります。

・自社サイト(コーポレートサイト)の運用
会社の概要や自社商品の詳細情報をまとめたWEBサイトを作成し、問い合わせや専用のフォームなどから集客につなげることもできます。企業情報も含めて詳細情報を掲載できるため、できるだけわかりやすく、閲覧しやすいサイト作りを心がけましょう。

・SEO対策(検索エンジン最適化)
SEO対策とは、任意のサイトを検索結果の上位に表示させるための施策や取り組みのことを指します。自社サイトを作成・運用する場合には、こちらも併せて実施することで、サイトにユーザーを呼び込むことができるようになります。専門的な知識は必要ですが、継続して行うことでより効果が期待できます。

​・Googleビジネスプロフィールの登録(MEO対策)
Google検索やGoogleマップに情報を掲載できる​Googleビジネスプロフィールに登録し、集客につなげる方法もおすすめです。Google検索の上位よりも、さらに優先して上位表示されやすい点が魅力です。また、マップという仕様上、実際に今近くのエリアや地域にいる人が検索をすることも多いため、集客につなげやすいです。

・メールマーケティング
メールマーケティングは、ダイレクトメールやニュースレター、メールマガジンなどを送り、集客につなげる方法です。商品やサービスに興味を抱いている方が対象になるので、既存顧客や見込み顧客へのアプローチに向いています。

オフライン集客方法の種類

集客はオンラインだけでなくオフラインの方法もさまざまあります。ここでは代表的なオフライン集客方法を紹介します。

・ダイレクトメール
特定の顧客に向けて、郵便やFAXなどでアプローチするのがダイレクトメールを使った集客方法です。伝えたい情報を顧客に直接アピールできるのがメリットですが、開封してもらえない可能性もあります。

・チラシやポスティング
チラシの配布や、顧客の郵便受けに直接ポスティングする方法もあります。また、新聞の折込チラシとして配布する方法もあります。日常生活でチェックする場面の多い場所なので、顧客の目に入りやすいという利点があります。

・看板やのぼりの設置
看板やのぼりは、店頭など人の目に付きやすい場所に設置することで集客につながるアイテムです。設置場所や設置物の違いによって費用が大きく異なりますが、のぼり旗などであれば比較的安く用意することができます。

・テレビ広告や新聞広告
テレビや新聞に広告を出稿する方法です。幅広い層に認知を広げるのに役立ちますが、比較的費用がかかります。

・イベントや展示会への参加
自社でのイベント開催や、展示会などに参加する方法です。実際に来場した顧客とコミュニケーションが可能で、実際に商品を手にとってもらうなど商品の魅力を直接アピールするのに役立ちます。

これらの集客方法については、以下の記事でそれぞれ詳しく解説しています。

効果のあるチラシ集客のコツをご紹介│デザインや作成方法についても解説

ダイレクトメール・DMとは?効果やメリット・デメリット、種類を解説

イベント企画を成功させる6つのポイント!進め方や集客アイデアも紹介

効率よく集客する7つのポイント

効率よく集客を行うために、顧客がどういう行動をしていて、どんな媒体を見ているのか、などを把握しておく必要があります。具体的な方法を紹介していきます。

効率よく集客する7つのポイント
  • ターゲット顧客をリサーチする
  • 商品の売り出しポイントを練り上げる
  • ターゲット顧客が見ているであろう媒体を調査する
  • ターゲットにとって魅力的な商品であることをアピール
  • 競合他社との差別化を図る
  • PDCAサイクルをまわす
  • リピーターができる仕組みを作る

ターゲット顧客をリサーチする

顧客が商品やサービスを購入する・利用するということは、言い換えれば、顧客が抱えている悩みを解決する手段になり得ると判断された、ということです。思うように集客ができない場合は、自社の商品やサービスでは悩みの解決ができない、と判断されている可能性があります。

経営者の中には「この商品は面白いから・品質がいいから、なんとなく売れそうだ」と考えていたり、巷で流行っているのでとりあえず便乗したい、と考えていたりする方もいるようです。商品は、顧客が自分の悩みを解決する手段や、ニーズを満たす手段として購入されます。顧客の悩みやニーズは何なのか、解決するためには・満たすためにはどんな商品が必要なのか、徹底的にリサーチしてみましょう。

商品の売り出しポイントを考える

顧客に訴求する商品のポイントを考えていきましょう。企業視点でのポイントを一方的に伝えるだけにならないよう、注意してください。自社の商品やサービスを購入することで満たせるニーズや、悩みを解決できる点が、訴求ポイントになります。

売り出しポイントを考える中で重要となるのは、顧客が買う理由を見つけられるかです。その商品が顧客にもたらす価値を想像できるように促しましょう。

たとえば、野菜不足を気にしている顧客がいるとします。毎日野菜をカットして食べようとすると、少し手間がかかってしまうため、野菜を手に取る機会が減っているのだと考えてください。そこで売り出すのがカット野菜です。カット野菜は購入する段階で既に食べやすい大きさに切り揃えられているため、料理時間を短縮できるうえ、価格が安定しているという特徴があります。

この場合は、野菜をカットする時間を短縮できる点や、野菜が気軽に摂取できるようになる点を訴求ポイントとして、メッセージに盛り込ませるのが効果的でしょう。

カット野菜がもたらす価値を顧客が想像できれば、野菜を摂るのに手間に感じていた顧客に、より効果的にアプローチできるようになります。このように新規顧客や潜在顧客に対しては、価値が想像できる売り出しポイントを作ることが重要です。

ターゲット顧客が見ているであろう媒体を調査する

ターゲット顧客に情報を届けるためには、その顧客層が普段どのような行動をして、どのような媒体から情報を得ているかを調査する必要があります。たとえば、シニア世代を集客したいと思っているのに、10代の利用者が多いTikTokなどのSNSなどを使って情報を発信してもそれほど効果は見込めないでしょう。

また、開業当初から集客の方法を変えていない場合、ターゲットが普段使っている媒体が時代とともに変化している可能性があるので、注意が必要です。

インターネットが生活の中に溶け込んでいなかった時代は、テレビのCMや新聞の折込チラシ・広告や郵送でのダイレクトメールなどでの集客が主流でした。しかし今は、消費者の時間の使い方や情報収集の方法が、昔とは違うものになってきています。ターゲット顧客やペルソナを設定した後は、そのターゲット層が注目しているであろう媒体を利用して情報発信できるかどうかが、集客のポイントになってくるでしょう。

ターゲットにとって魅力的な商品であることをアピール

ターゲットになる顧客層に的確に情報発信ができたとしても、そのサービスや商品の魅力が伝わらなければ、購入には至りません。集客を行う際に、顧客が「この商品なら自分の悩みを解決できる」と信じられるコンテンツを発信するのが大切です。

しかし商品の良さをただアピールしたところで、ターゲットに魅力を感じてもらえなければ意味がありません。よく見受けられるのが、自社がアピールポイントとして認識していた点が、ターゲットにとってはそれほど重要ではなかった、というパターンです。たとえば、ファミリーカーを探している顧客に対して、「この車の最高速度は300kmです」とアピールしても、購買意欲を高めるのは難しいでしょう。ファミリーカーを探している顧客は、スピードを求めているわけではないからです。ターゲットのニーズに合致する商品の売り出しポイントを、わかりやすくアピールしてみましょう。

とはいえ、その売り出しポイントがターゲットにとって魅力的なものかどうかは、実際に伝えてみなければわからない場合もあります。そのようなケースでは複数の訴求内容をテストし、比較検証するのが効果的です。

競合他社との差別化を図る

どんな業態であっても、自社の商品やサービスと類似したものを提供する競合他社の存在はつきものです。だからこそ、集客率と売上をアップさせるために、競合と差別化できる自社の魅力を見出し、顧客へ伝えられるかが重要です。

自社の商品のどのような部分がどのくらい優れているか、他社とはどのような違いがあるのかを、説明できるようまとめておきましょう。品質の良さや付加価値の魅力、店の立地がよく手に入れやすいなど、顧客が自社と競合と比較するときに決定打となるようなポイントを明確にしておくことが大切です。

PDCAサイクルをまわす

PDCAサイクルとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことによって、管理業務を継続して改善し続けていく方法です。 ここまで紹介してきた方法で集客を行いながら、定期的に効果測定をしましょう。どの媒体での集客効果が大きかったのか、効果がなかった場合はなにが原因だったのか、次はどの媒体で検証するべきかなど、失敗と成功の原因分析を繰り返しながらサイクルを回すことで、さらに効果のある集客を目指せます。

リピーターができる仕組みを作る

一度商品やサービスを購入してくれた顧客が、再度購入したいと思ってもらえる仕組みを作っていきましょう。

売上の8割は2割のリピーターから生まれる、と言われていることからもわかる通り、集客によって新規顧客を獲得した後、さらに売上を伸ばしていくためには、リピーターの存在が重要です。商品への満足度が高く、何度も店に足を運んで購入を繰り返してくれる、ファンのようなリピーターが増えるほど、売上アップが期待できます。

集客によって新規顧客がある程度増えてきた時点で、顧客をリピーターに変えていく仕組み作りを考えていきましょう。

リピーターを作る施策としては、メルマガやDMの送付、ポイントカードの作成などが代表的です。以下の記事で詳しく解説していますので、どんな施策なら自社にマッチしそうか、ぜひ参考にしてください。

リピーターを増やすには?リピーターを獲得する4つの方法をご紹介

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