自社の商品・サービスを消費者に認知してもらい、購買意欲を促し、リピーターとして定着してもらうまでには、商品をより知ってもらうためのプロモーションが必要となります。商品のプロモーションについて、ただ商品を売り込むだけだと誤解して進めてしまうと、消費者に対して適切なメッセージが伝わらず、売上にも繋がりにくくなります。

今回は、商品プロモーションについて、具体的な方法と企業の成功事例を踏まえて紹介します。

商品のプロモーションとは

商品のプロモーションとは、ある商品に対する販売促進活動のことを指します。ここでは商品プロモーションの主な特徴を紹介します。

マーケティング・キャンペーンとの違い

商品プロモーションおよびプロモーションとは、さまざまなマーケティング活動の中の1つです。

マーケティング用語の中には「4P」とよばれるプロセスがあり、具体的には「何を売る」にあたる「Product(製品)」、「いくらで売る」にあたる「Price(価格)」、「どこで売る」にあたる「Place(場所)」、「どのようにして売る」にあたる「Promotiom(プロモーション)」で構成されています。

4Pの中にプロモーションが含まれていることから、文字通り「どのようにして売るか」を考えるのがプロモーションであり、マーケティング活動のひとつの要素であることがわかります。また、「キャンペーン」とは、期間限定で行うプロモーション活動のことを指します。そのため、キャンペーンはさらにプロモーションの1部であると捉えることができます。

商品プロモーションを行う目的

商品プロモーションは、自社の商品・サービスについて、顧客の認知度や好感度、理解度をアップさせ、購買意欲を向上させることが目的となります。ターゲット層の中心となる顧客がどのようなタイミングでどのような手段で商品・サービスを購入するかを分析し、ターゲット顧客がリピーターになるまでを一連の流れとして、結果的に自社のブランド力を向上させることを最終目的としています。

商品プロモーションの4つの方法

商品プロモーションには、主に「広告宣伝」、「PR・広報」、「販売促進」、「人的販売」という4つの方法があります。具体的にどのようなことを指すのかを紹介します。

広告宣伝

広告宣伝とは、テレビ、雑誌、新聞、ラジオといったマスマディアや、YouTubeやSNSなどインターネットのメディアを通じて、広告という形で自社の商品・サービスの認知をおこなう活動のことを指します。メッセージ性の強い広告によって顧客との関係の構築をはかり、商品・サービスの認知から購入・利用へ促すというプロモーションになります。

PR・広報

PR・広報は、メディアを通して自社の商品・サービスの認知向上を図ることが目的です。広告宣伝と似ているような印象がありますが、PR・広報の場合は、プレスリリースの配信や、自社の公式サイトやSNSの配信、取材対応などが主な活動内容であり、基本的に広告費がかからないのが特徴です。SNSやテレビ、雑誌など影響力のあるメディアにとり上げてもらうことができれば、顧客への大きなアピールにつながります。

販売促進

販売促進とは、自社の商品・サービスの購入・利用に結びつくきっかけ作りをするセールスプロモーションのことを指します。主に、店頭POPやポスター、チラシ配布やイベント・キャンペーンの実施などがあげられます。順番としては、先に紹介した広告宣伝やPR・広報活動で顧客の認知度を高めてから、イベントやキャンペーンにより売上アップを図るというのが、効果を見込める流れとなります。

人的販売

人的販売とは、販売スタッフが実際に店頭に立ったり、電話や訪問販売を行ったりする販促活動のことです。メディアなどでの文字や映像だけでは伝わらない部分である、手触りや食感といった直接的なよさをアピールすることができます。また、顧客と対面でコミュニケーションを図れることで、相手の反応を見ながら臨機応変な対応ができたり、好感度アップを期待できたりします。

商品プロモーションを行う際のポイント

商品プロモーションを行う際のポイント
  • 目的とターゲットを明確にする
  • プロモーション方法を選択する
  • 市場リサーチで消費者ニーズを掴む

自社で商品プロモーションを行うにあたって、どのようなことに注意しながら進めていけば、よりよい効果を期待できるのでしょうか。ここでは、商品プロモーションを行う際のポイントについて紹介します。

目的とターゲットを明確にする

たとえば新商品を開発する際には、開発する目的やターゲット層を明確にして具体的な商品内容を決定していきます。それと同様に、商品プロモーションにおいても目的やターゲットを具体化して進めなければ、顧客に対してメッセージは伝わりません。販売する目的や、想定する顧客(ペルソナ像)を明確にしましょう。ペルソナ像は、年齢や性別、生活環境などまで具体的にイメージし設定することで「この顧客が求めているもの」や「どのようなことに困っているのか」ということも具体化できます。顧客のイメージがはっきりして、その顧客にどのようにアプローチするべきかが想定できれば、商品プロモーションもよりメッセージ性のあるものに近づけることができます。

プロモーション方法を選択する

目的とターゲットの設定が明確にできれば、それに見合ったプロモーション方法もより明確にできます。先に述べたプロモーションの方法から、自社の状況やターゲット顧客の特徴などにあわせて適した手法を選択しましょう。

広告宣伝で認知度アップを図ったあとには、イベント実施やサンプル配布などの直接的なプロモーションを行うなど、各手法を混ぜ合わせたプロモーションミックスを実行することも、相乗効果の高い施策となります。

市場リサーチで消費者ニーズを掴む

自社の商品・サービスがどれほど品質がよく、高い効果が見込めるものであっても、現在進行形として消費者が求めているものと合致していなければ、高い需要は見込めません。そこで重要となるのが市場リサーチ、市場調査となります。市場調査をすることで、今現在の消費者のニーズや傾向を具体的に把握することができます。また、市場調査で得られた結果は、ペルソナ像の具体化や、どのような広告宣伝が有効かの判断材料にもなります。

商品プロモーションを行った事例

商品プロモーションを行った事例
  • マクドナルド「トレイマットデザインコンテスト」
  • 栗山米菓「幸せの金星ハッシュタグキャンペーン」
  • ロッテ「平成の雪見だいふく復刻総選挙」

最後に、大手企業が行ったユニークな商品プロモーションの事例を3つ紹介します。自社の商品・サービスの商品プロモーションの参考にしてみてはいかがでしょうか。

マクドナルド「トレイマットデザインコンテスト」

日本マクドナルド社では、関東学院大学、横浜市と共に、『生物多様性』を考えるデザインプロジェクトとして「トレイマットデザインコンテスト」を実施しています。関東学院大学の学生が、環境に配慮した行動を促すためのトレイマットのデザインを考え、オンラインで投票を募っています。最優秀賞に選ばれた1作品は、「自然と人とが共生するまちづくり」を目指す横浜市内のマクドナルド全店舗において、期間限定でマクドナルド店内のトレイに敷かれる「トレイマット」として使用されます。
(2023年7月時点)

参考:【関東学院大学×日本マクドナルド株式会社×横浜市】「『生物多様性』について考えて、行動するプロジェクト」マクドナルド店内で使うトレイマット デザイン コンテストを開催|横浜市のプレスリリース

栗山米菓「幸せの金星ハッシュタグキャンペーン」

株式会社栗山米菓の販売商品である米菓「星たべよ」は、個包装に星のイラストとともに運気アップのメッセージが描かれています。「幸せの金星ハッシュタグキャンペーン」では、それらの個包装のなかに「幸せの金星」の絵柄を見つけたら、公式X(旧Twitter)か公式Instagramにハッシュタグとともに画像を掲載すると、抽選でプレゼントが当たるキャンペーンを実施しました。既存商品のパッケージを活かしたキャンペーンでプロモーションに繋げています。
(2023年7月時点)

参考:. \ 星たべよ🌟からのお知らせ! / いつもたくさんの応募ありがとう♩ 【幸せの金星】キャンペーンが 今月もスタートしたよ〜〜!🎁 応募期間は2月28日23:59まで📣 金星個装見つけたら投稿してね☆ミ みんなの応募待ってるよ💓… | Instagram

ロッテ「平成の雪見だいふく復刻総選挙」

株式会社ロッテでは、昭和56年に販売開始した自社商品である「雪見だいふく」において、平成の間に販売された24種類のなかからもう一度食べたいと思う雪見だいふくに投票してもらう「平成の雪見だいふく復刻総選挙」というイベントを実施しました。

選挙に勝ち残った雪見だいふくを実際に復刻販売し、投票した応募者の中から抽選で100名にプレゼントしています。平成の時代を振り返りつつ、新たな令和の時代にも変わらぬおいしさを届けていくことをメッセージとしたイベントになりました。
(2023年7月時点)

参考:『#平成の雪見だいふく復刻総選挙』、ついに結果発表!! 24種の「雪見だいふく」の中から見事栄冠を掴み、令和に復刻する「雪見だいふく」は… ロッテ『まん中も、もちもち雪見だいふく抹茶』に決定!|株式会社ロッテのプレスリリース

まとめ

今回は、商品プロモーションについて、実施する際のポイントや企業の成功事例などを紹介しました。

商品プロモーションは、自社の商品・サービスについて、顧客の認知度や好感度、理解度をアップさせ購買意欲を向上させることが目的です。「広告宣伝」「PR・広報」「販売促進」「人的販売」の大きく4つの方法から、状況やターゲットにあわせて適切なものを選んだり、組み合わせたりすることが重要です。

目的とターゲットを明確にし、自社の商品・サービスにあったプロモーション方法を探してみてはいかがでしょうか。

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