来店したお客様が商品購入する際に、目に留まりやすく、手に取りやすい範囲の商品陳列を「ゴールデンゾーン」と呼びます。お客様が探している商品をすぐに見つけることができれば売上アップにつながり、さらに陳列方法を工夫することによって、購買意欲促進にもつながります。今回は、商品陳列における「ゴールデンゾーン」の詳しい意味と、ゴールデンゾーンの存在をさらに生かすための具体的な陳列方法について解説します。

ゴールデンゾーンとは?

店舗レイアウトで用いられる言葉のひとつである「ゴールデンゾーン」とは、商品陳列において用いられる用語ですが、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。ここでは、ゴールデンゾーンの意味と、具体例を紹介します。

商品が見やすく手に取りやすい高さのこと

ゴールデンゾーンとは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店の陳列において、お客様が商品を見やすく、手に取りやすい高さの範囲のことを指します。高さについてはお客様の身長や通路の幅にもよりますが、床面から75cm~150cmの高さとされ、その空間がもっとも売上を期待できる高さともされています。「ゴールデンゾーン」と似た言葉として「ゴールデンスペース」という言葉があります。ゴールデンスペースは、ゴールデンラインから上に10度、下に20度の範囲を指します。

ゴールデンゾーンに置くのに適した商品の例

商品陳列の什器においての売上の8割から9割は、ゴールデンゾーンに集中しているといわれています。つまり、ゴールデンゾーンにどの商品を陳列するかによって、客単価アップにもつながります。例えば、視認率の高さを利用して、認知されていない新商品や季節限定商品を陳列したり、売れ行きのよくない商品を売れている商品とともにゴールデンゾーンに配置したりするなど、利益率向上につながるようにゴールデンゾーンを活用しましょう。

ゴールデンゾーンの重要性と期待できる効果

店舗の商品陳列において、なぜゴールデンゾーンを重要視する必要があるのでしょうか。ここでは、ゴールデンゾーンを意識する重要性と期待できる効果について解説します。

ゴールデンゾーンの重要性と期待できる効果
  • 商品視認率の向上につながる
  • 購買意欲の向上につなげやすい

商品視認率の向上につながる

先に説明した通り、ゴールデンゾーンとは、お客様が商品を見やすく、手に取りやすい高さの範囲のことを指します。そのため、認知してもらいたい新商品や購入してもらいたい商品をゴールデンゾーンに陳列することで、お客様の目に留まりやすく、商品視認率の向上や購入へとつながる効果が期待できます。

購買意欲の向上につなげやすい

ゴールデンゾーンに陳列する商品は、お客様の目に留まりやすいことから、商品の興味を引きやすく、購買意欲の向上につながります。そのため、主力商品とあわせて購入してもらいたい商品や売れ行きのよくない商品を陳列することで、「ついで買い」を促進する効果も期待できるでしょう。

顧客の身長によるゴールデンゾーンの違い

ゴールデンラインの高さ

先に、ゴールデンゾーンとは床面から75cm~150cmの高さということを解説しましたが、お客様の身長によって目線の高さは異なるため、厳密にいえばゴールデンゾーンの位置も異なってきます。例として、身長160cmのお客様が視線をまっすぐにした場合の視線の先は150cm前後、子どもの場合は、年齢や性別、個人差によって差がありますが、80cm以下が一般的なゴールデンゾーンともされています。また、人間にとっての自然な視野というのはまっすぐの視線の10度程度下になるともされています。そこで平均的とされるゴールデンゾーンは下記のとおりとなります。

顧客 平均身長 ゴールデンゾーン
女性 160cm 120~150cm
男性 170cm 130~160cm
子ども 80cm以下

什器の種類によるゴールデンゾーンの違い

商品陳列ではさまざまな種類の什器が用いられますが、それらの什器によってもゴールデンゾーンには違いがあります。ここでは、4種類の什器によるゴールデンゾーンの違いについて解説します。

什器の種類によるゴールデンゾーンの違い
  • 垂直型ゴンドラ
  • 張り出し型ゴンドラ
  • L型ゴンドラ
  • 冷蔵ケース

垂直型ゴンドラ

「垂直型ゴンドラ」とは、スーパーマーケットなどでよく見られるような、商品を陳列する棚の部分が側面から見て、垂直型になっている什器のことを指します。垂直型ゴンドラのゴールデンゾーンは床から75cm〜135cm程度とされており、特に下部に従って視認率が高くなるため、特に主力としたい商品は75cmほどの高さが適しているとされています。

張り出し型ゴンドラ

「張り出し型ゴンドラ」とは、スーパーマーケットの野菜コーナーなどでよく見られるような、床面に近づくにしたがって段々と棚が張り出している形のゴンドラのことを指します。目線の高さがゴールデンゾーンと言われていますが、張り出し型ゴンドラは下段が張り出していることから、見やすくなっている下段の陳列も売れやすいとも言われています。

L型ゴンドラ

「L型ゴンドラ」とは、飲料コーナーで見られるような、最下段だけが張り出していて側面から見るとL字型になっている形状の什器のことを指します。特に牛乳などの重量がある大型飲料は、棚の最下段に陳列されることが多く、目線以外の最下段もゴールデンゾーンになると言われているL型ゴンドラが飲料コーナーでの設置に適しています。

冷蔵ケース

「冷蔵ケース」とは、生鮮食品や冷凍食品などを陳列できる冷蔵機能のついた什器のことを指します。垂直扉の什器全体が冷蔵ケースとなっているものは、目線の高さにかかわらず全体的に視認性が高いものの、最初に左上から見始めることの多いという人間の視線の動きをふまえると、売りたい商品を左上に陳列するという工夫もできるでしょう。

通路幅によるゴールデンゾーンの違い

お客様が商品を眺める際の立ち位置によっても視界は異なることから、什器の形状に限らず、什器を設置している通路の幅によってもゴールデンゾーンには違いが出てきます。例えば、スーパーマーケットのように垂直型ゴンドラが通路を挟んで並んでいるような陳列方法の場合、通路幅が2mほどあればお客様が什器からある程度離れて立つことができるため、上下左右とも視界に入る陳列商品の範囲は広くなります。このことから、ゴールデンゾーンを踏まえた商品陳列を考える際には、什器からの距離や立ち位置によってどの程度の範囲の商品を見ることができるのかを意識して考えるとよいでしょう。

ゴールデンラインの通路幅

ゴールデンゾーンに適した商品の陳列方法

ここまでは什器の特性を踏まえたゴールデンゾーンの活用法を紹介してきましたが、ゴールデンゾーンとあわせて考えたいのが、より高い効果を期待できる陳列方法です。

縦陳列

 スーパーマーケットなどで見受けられる陳列方法で、チョコレート、ポテトチップス、または野菜ならレタス類などのように、同じカテゴリーの商品を縦方向に並べていきます。横にはカテゴリーの異なる商品が並んでいるため、商品を探しやすいのが特徴です。

横陳列

 縦陳列と反対に、同じカテゴリーの商品を横並びに陳列します。大量にまとめて陳列したいときに採用される方法で、お客様の視線を集めやすくなります。

エンド陳列

 陳列棚の両端、各通路の入り口にあたるところに陳列する方法で、通路に入ろうとするお客様の目に留まりやすく、セール商品など注目を集めたい商品の陳列に適しています。

ほかにも、商品を目立たせたい場合の「島陳列」や、カップ麺などの特売品の際にカゴに投げ込んでいる状態で陳列される「投げ込み陳列」などもあります。ゴールデンゾーンとうまく組み合わせることで、より効果の高い宣伝効果を期待できるでしょう。

商品の陳列方法について詳しくは、下記の記事もあわせてお読みください。

売上に繋がる売り場作りの方法とは?目に留まる場所や陳列方法も紹介

まとめ

今回は商品陳列におけるゴールデンゾーンについての特徴や、ゴールデンゾーンを生かした陳列方法などについて紹介しました。お客様が商品を見やすく、手に取りやすい高さの範囲のことを示すゴールデンゾーンは、うまく活用することでお客様の購買意欲向上につながります。商品の種類に適した什器を組み合わせながら、売上アップにつながる商品陳列を目指してみてはいかがでしょうか。

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