商品やサービスの売上を効果的にアップできる販促ツールを知りたいと思っても、「種類が多いため、どのツールが適しているのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。実際に、販促ツールにはさまざまな種類があり、業態や目的、ターゲットによって適切なものも異なります。

企業の目的に適した販促ツールを選ぶためには、販促について理解を深めておくことが大切です。今回は、販促ツールがどのようなものであるか、販促ツールを利用する目的や種類ごとの具体例について、詳しく説明します。

そもそも販促ツールとは?

販促ツールとは、名前の通り「販売を促進するためのツール」のことを指します。ターゲットとなる消費者やユーザーにアプローチして集客し、購買意欲を刺激することを目的としたツールになります。

たとえどれだけ魅力的な商品やサービスを開発したとしても、それらの魅力が適切に消費者に伝わらなければ集客や購買に結びつけることはできません。販促ツールは、商品やサービスと消費者を結び、ひいては売上をあげるための重要な役割を担っているということになります。

代表的なものとして、チラシやPOP、旗やメールマガジン、ノベルティの配布や実演販売などが挙げられます。

販促ツールを利用する目的

効果的な販促をするためには、目的を持って販促ツールを利用しなければなりません。具体的な目的の例として、以下の3つが挙げられます。
販促ツールを利用する主な目的は「購入促進」「リピーター獲得」「認知度向上」の3つ
これらの目的を持って販促ツールを利用すれば、最終的に企業の売上をアップさせることにつなげられるでしょう。ここからは、販促ツールを利用する目的について詳しく説明します。

消費者に商品やサービスの購入を促す

1つ目は、消費者に商品やサービスの購入を促すことです。

商品を購入することでポイントを付与したり、複数の商品を購入すれば割引を受けられるといった販促をおこなえば、「積極的に商品やサービスを購入しよう」という意思を持ってもらいやすくなります。

もちろん、現状ですでにある程度の販売ができている状態であれば、いつも通り商品やサービスを販売していても、一定の売上を出すことができるかもしれません。しかし、販促ツールを利用して「購入しなければ受けられないメリット」を出せば、さらに消費者の購買意欲を刺激することが見込めます。通常は手にいれられないようなキャンペーンや特典、イベントを設けることによって、効率的に売上をアップさせられるでしょう。

既存顧客のリピートにつなげる

2つ目は、既存顧客のリピートにつなげることです。

販促ツールを利用してたくさんの顧客を集められたとしても、既存顧客が継続的に来店してもらえなければ安定的な売上を出すことはできません。そのため、既存顧客をリピートにつなげられるように販促ツールを活用することも、事業運営をするために重要だといえます。

リピート率を高めるツールの例として、ポイントカードを発行して購入金額に応じてポイントを付与するという販促ツールが挙げられます。貯まったポイントを次回購入時に現金として利用できるような仕組みにしておけば、「また店舗に行ってみよう」という気持ちを持ってもらいやすくなります。

ノベルティを配布して継続的に企業の情報をアピールする方法も、リピート顧客を獲得するために有効です。店舗情報が記載されたアイテムやグッズを配布することで、ふとしたきっかけで店の存在を思い出させやすくなり、リピート率のアップが期待できるでしょう。

リピーターを増やす方法やメリットについてはこちらの記事をご覧ください。

リピーターを増やすには?リピーターを獲得する4つの方法をご紹介

企業の認知度を高めて新規顧客を獲得する

3つ目は、企業の認知度を高めて新規顧客を獲得することです。

企業の認知度を高めたり新たな商品やサービスを異なるターゲットにアピールするためには、新規顧客を獲得する販促ツールを活用するのも重要です。

たとえば、イベント会場でノベルティや無料サンプルを配布すると、今まで企業の商品やサービスについて知らなかった新規顧客を効率的に呼び込めるようになります。友人紹介で特典を受け取れる仕組みを取り入れれば、既存顧客に新規顧客を呼び込んでもらうことも期待できます。他にも、新規でアンケートに答えた人にプレゼントを配布する販促施策を打つと新規顧客を集中的に呼び込むこともできるでしょう。

こちらの記事では、ブランド認知の重要性や、認知度を高める方法について紹介しています。

ブランド認知とは?重要な理由や認知度を高める方法・調査方法も解説

販促ツールは2つの種類がある

販促ツールには、大きく分けて以下の2つの種類があります。

  • プッシュ型の販促ツール
  • プル型の販促ツール

これらの種類ごとの特徴を知っておけば、目的に応じて適切な販促ツールを選べるようになるはずです。ここからは、販促ツールの種類ごとの特徴や具体例について詳しく説明します。

【プッシュ型】販促ツールの一覧

プッシュ型の販促ツールとは、企業が積極的に消費者に対してアプローチし購買を促すために用いるツールのことをいいます。代表的なものに以下のようなツールがあります。

プッシュ型の販促ツール
  • チラシ
  • ノベルティ
  • DM・メールマガジン

これらは従来から取り入れられてきた販促ツールではありますが、時代の変化とともに具体的な手法は少しずつ変わってきています。以下では、これらの販促ツールの詳細について詳しく説明します。

チラシ

チラシは、企業の情報や販売したい商品やサービスの内容が記載された紙媒体のことをいいます。パンフレットとは違い掲載できる情報量が少なくなりますが、簡単に配布できたり、消費者に対してアピール内容を端的に伝えられることから、プッシュ型の販促ツールとして採用する企業は多いです。

チラシにも、新聞の中に折り込んで各住宅に配布する「折込チラシ」や、企業のスタッフや委託した業者がチラシを単体でポストに投函する「ポスティング」といった種類があります。折り込みチラシは新聞の中に挟み込まれているので、新聞を開いたタイミングで一緒に読んでもらいやすいという特徴があります。しかし、新聞を取っていない人には配布できないので、対象を限定せずに配布したい場合はポスティングを選ぶとよいでしょう。

また、ティッシュにチラシを挿入したり、チラシ単体を駅前やスーパーなどで直接消費者に配布する手法も効果的。「新規顧客には特典をサービス」という文言を記載したり、チラシにクーポンを添えたりすれば、より効果的な集客が見込めます。

チラシ配布により期待できる効果や測定方法が詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

チラシ配布で期待できる効果とは?改善につながる効果測定方法も紹介

ノベルティ

ノベルティは、イベントや展示会などで消費者に対して配布するアイテムやグッズのことです。店舗やイベント会場に訪れた人に配布することで、商品購入のきっかけや、サービス認知をさせることができます。ノベルティとして配布される商品には、企業名や連絡先などが記載されているため、消費者に継続的に使用してもらえれば、企業のイメージアップや来店促進をすることが可能です。

配布する品物としては、ボールペンやカレンダー、ステンレスボトルやモバイルバッテリーなどが挙げられます。どの品物が喜ばれるかは配布する対象によって変わってくるため、ターゲットのニーズについてしっかりと考慮した上で選定しましょう。

また、発注数によってノベルティ1個あたりの金額が変わるのも特徴。予算によっては用意できるノベルティの種類や数量が変わるため、早めに見積もりを取って計画的に準備を進める必要があります。ノベルティの種類によっては競合企業とかぶってしまう危険性もあるので、いかにオリジナリティのある品物を用意するかを意識することも重要です。

ノベルティの制作方法や効果についてはこちらの記事をご覧ください。

ノベルティの意味とは?製作の流れと効果をご紹介

DM・メールマガジン

DMは、顧客情報をもとに、ターゲットを限定してはがきや封筒、パンフレットなどを送付する手法です。紙の面積に限りのあるチラシよりも、伝える情報量を増やしやすいのが特徴といえます。圧着はがきなどの特殊なDMを使えば、さらに多くの情報を載せることも可能です。

一方、メールマガジンは、DMのように形に残る手法とは違い、メールで新商品やセールなどの情報を顧客に届ける手法のことをいいます。印刷や封入といった費用や手間がかからないので、コストを抑えて効率的に情報を配信できるのがメリットです。内容によっては継続的に読者としてメールマガジンを読んでもらえるので、継続的に売上を伸ばすことができるでしょう。

また、最近はLINE公式アカウントを開設している企業も増えています。LINEは気軽にメッセージを送信できるだけでなく、顧客と双方向のコミュニケーションもとれることから、企業との信頼関係を深めやすいのがメリットです。「友達登録をしたら特典をプレゼントする」といったキャンペーンを実施すれば、効率的に登録者を増やすことも可能です。

ただし、どの手法も内容や配信頻度によっては迷惑だと感じられるケースがあるため注意が必要。顧客にとって有益な情報が定期的に配信できているかをこまめにチェックしましょう。

DMやメルマガの効果やメリット、実施するコツなどについてはそれぞれ以下の記事で詳しく紹介しています。

ダイレクトメールとは?効果・メリット・デメリット・種類を解説

メルマガは売上アップに効果的!成果につながるポイントを知ろう

【プル型】販促ツールの一覧

プル型の販促ツールは、消費者が自発的に店舗に足を運んだり商品やサービスを購入させるためのツールです。プル型の販促ツールを用いて、まずは消費者に商品やサービスへ興味を持ってもらい、その後さまざまな展開をすることで自発的に購入までしてもらえるように導くのが一般的です。

テレビやラジオ、新聞や雑誌に広告を掲載する「マス広告」のように、企業が一方的に消費者に情報を与えるものとは異なり、消費者自ら行動を起こさせるという点が特徴です。

プル型の販促ツールとして代表的なものには、以下の3つがあります。

プル型の販促ツール
  • Webサイト・ブログ
  • 店頭POPや旗
  • カタログ

これらの販促ツールごとにどのような特徴があるかを知っておけば、消費者が主体的に企業の商品やサービスを利用してくれる可能性を高められるでしょう。ここからは、プル型の販促ツールの具体例について詳しく説明します。

Webサイト・ブログ

近年、インターネットやスマートフォンが普及したことによって、企業の情報にアクセスしてから商品やサービスの購入を決める消費者が増えています。Webサイトやブログを運営していれば、企業が手がける商品やサービスの魅力を分かりやすく伝えることが可能です。実際に商品やサービスを利用した人の口コミなどを掲載すれば、消費者に信頼感を持ってもらうきっかけにもなり得ます。

また、新商品や関連商品などの消費者に役立つ情報を定期的に掲載していれば、企業のファンを増やすことにもつなげられます。検索エンジンで検索されやすいサイトに成長すれば、広告費用を抑えて集客できるでしょう。

webサイトやスタッフブログを作るコツについて知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。

集客できるホームページを作るコツは?失敗しやすいポイントも解説!

スタッフブログの投稿で得られる効果とは?更新を続けるコツも紹介

店頭POPや旗

企業が実店舗を運営している場合、店頭POPや旗を設置することによって通行人に興味を抱かせることが可能です。提供している商品の内容や金額、イベントの開催情報や特典といった情報を分かりやすくアピールできるので、取り入れている店舗が多い販促ツールとなっています。また、時期によってスムーズに表示内容を変えられるのもメリットです。持ち運びも簡単なので、販促内容に応じて適切な場所に設置することができます。

POP広告については、こちらの記事で種類やポイントを詳しく解説しています。

POP広告にはどんな種類がある?売上に繋がるポイントと作り方についても解説!

カタログ

カタログは、企業が提供する商品やサービスを網羅的に掲載できる販促ツールです。顧客に気に入った商品を選んでもらうという特徴があるため、とくに多数の商品を扱う企業によく利用されています。

デザインやページ数も自由に選べるので、オリジナリティを持たせやすいのもメリットで、ニーズごとにおすすめの商品を分類して提案すれば、購買行動に結びつけやすくなるでしょう。

カタログの作る上でのポイントや手順はこちらの記事を参考にしてみてください。

売上につながるカタログの作り方とは?ポイントと作成手順を解説

販促ツールを活用し効果を出すポイント

販促ツールを活用するうえで、より効果を高めるためには主に以下のようなポイントを意識しましょう。

販促ツールを活用し効果を出すポイント
  • ターゲットや目的に合わせた販促物を選ぶ
  • スケジュールや予算を明確にする
  • 他社企業の成功事例を参考にする
  • 施策実施後に効果の測定や検証を行う

それぞれ詳しく解説します。

ターゲットや目的に合わせた販促物を選ぶ

記事冒頭でも述べたように、販促ツールは、使う目的やターゲットとなる消費者によって適したものが異なります。ここまで紹介してきたツールでも、それぞれ得られるメリットや適した場面が異なることが分かったかと思います。また、種類だけでなく、そのツールにおいてどのくらいのサイズや形態で、どのようなデザインにするのかといった内容の部分も、ターゲットを意識して考えましょう。

施策を行う目的も、ターゲットは商品やサービスによってさまざまだと思いますが、「5W2H」のフレームワークやインタビュー、アンケートなどを活用して「何故そのツールを使うのか」「そのツールで何を得たいのか」「誰に向けた訴求がしたいのか」を明確にしていきましょう。

スケジュールや予算を明確にする

販促ツールは、制作や実施するうえでコストや時間がかかります。まずはいつ必要なのかを明確にし、制作にかかる納期などを逆算してスケジュールを管理しましょう。特に、印刷会社などに外注して制作するツールの場合は、それぞれ設けられた納期や仕様、オプション、費用は異なります。「発注が遅れて納期が間に合わなくなった」「想定していたよりも高いコストがかかってしまう」などの事態が起きないように、事前に発注先の情報もしっかりとリサーチしておきましょう。

他社企業の成功事例を参考にする

他社が成功している事例は、貴重な参考アイデアになります。特に業種や取り扱っている商品・サービスが近い場合は、自社で販促ツールを使ううえでも参考にできる点が多いでしょう。

たとえば、大手パンメーカーでは、商品購入によって集められるシールで特典をもらえるキャンペーンを定期的に実施していたり、お菓子メーカーではSNSでオリジナルのハッシュタグを作り、多くのユーザーに特定の商品について投稿してもらうキャンペーンを行っていたりします。

こういった他社の取り組みにアンテナを張り、何か取り入れられる要素は無いかを探ってみるとよいでしょう。

販促キャンペーンの事例についてはこちらの記事で多数紹介しています。

販促キャンペーンの事例を紹介!企画する際のポイントも紹介

施策実施後に効果の測定や検証を行う

販促ツールによる施策を実施した後は、その効果の特定や検証を行うところまでをセットで考えましょう。「設置して終わり」「実施しただけで終わり」の状態にしていては、販促ツールの正確な効果や目的を達成できているかが分かりにくくなります。使用したツールから得られた購買や集客の実績、顧客の反応などを測定して、仮説を立て、さらなる次の施策に繋げていきましょう。この繰り返しの中で、より適切な販促ツールを見極められるようになったり、ツールや施策の精度をあげていけるようになったりします。

まとめ

ここでは、販促ツールの概要や利用目的、販促ツールの具体例について説明しました。

効果的な販促をおこなうためには、販促ツールごとの特徴や違いを理解したうえで、注意点を意識しながら企画を進めることが大切です。ここで説明した内容を参考にして、企業が求める成果を出せる販促ツールを選べるようにしておきましょう。

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