飲食店の集客方法は様々ですが、中でも「チラシの配布」は比較的導入しやすい代表的な集客媒体の一つです。しかし、見よう見まねで作成したチラシを配布するだけでは集客に繋がらず、せっかくコストをかけても無駄になってしまうかもしれません。
そこで今回は、チラシの種類や費用、顧客が魅力に感じるチラシの特徴などをご紹介していきます。

飲食店でチラシを配布する効果とは?

飲食店でチラシを配布する効果とは?
  1. 店舗の認知度を向上させられる
  2. 顧客の親近感を抱いてもらいやすい
  3. 店舗のオリジナリティをアピールできる

飲食店でチラシを配布することで期待できる効果は主に3つあります。1つ目は店舗の認知度を向上させられることです。店舗によっては、立地や営業時間、外観などから、そもそもそこにお店があるということを認識されていないというケースもあります。仮に立地などの条件が良かったとしても、周辺に同じようなお店が多数並んでいると、より外観の印象が強い他店舗が目立ち、自店舗を顧客に見つけてもらえない可能性もあります。チラシの配布によって、まずは店舗の存在をアピールすることで、顧客の認知度向上に期待ができます。

2つ目は顧客の親近感を抱いてもらいやすいことです。外から店内の様子が分からない場合、新規の顧客が店内に入りづらいという印象を与えてしまう可能性があります。チラシに店舗内のイメージ写真や価格帯を載せることで、店舗に対して親しみやすさを持ってもらうことができ、初めての方でもお店に入りやすくなるかもしれません。配布したチラシによって、来店後もお店の情報を思い出す機会を作ることでリピーター獲得に期待が持てます。店舗のイメージに合わせてイラストを使用してみたり、実際に働いているスタッフの顔写真を使用したりと、店舗独自の方法を模索していけば、より顧客との親近感を高められるでしょう。

3つ目は店舗のオリジナリティをアピールできることです。数ある選択肢の中から顧客に自分の店舗を選んでもらうためには、価格だけでなく「個性」も重要になります。具体的には、「メニューが幅広く豊富である」「常に旬な魚を食べられる」「地元のお酒にこだわっている」など、その店舗独自の強みをチラシで分かりやすくアピールしましょう。

季節限定のサービスや新しい取り組みを行う際にも、その詳細をチラシに載せることで従来とは異なる客層の獲得に期待ができます。また、配布したチラシの枚数に対して、顧客が商品の購入やサービスの申し込みにつながった反響率(反応率)を集計することで、配布したチラシにどのくらいの効果があったのかを測ることができます。

具体的な飲食店の反響率や反響率の計算方法は、下記の「反響や効果はどうやって計測すればいい?」をご確認ください。
「反響や効果はどうやって計測すればいい?」

顧客が魅力を感じるチラシの特徴や作成のコツ

ターゲットに「このお店に行ってみたい」と思わせるチラシ作りには、何らかの工夫が必要です。顧客が魅力に感じるチラシの特徴を6つご紹介します。

ターゲットがはっきりしている

「老若男女問わず、色んな人にアピールしたい」とつい考えてしまいがちですが、年齢や年代によって魅力的に感じる情報や配色、表現は異なります。チラシによる集客効果を高めるためには、まずターゲットを絞り、どんなサービスや商品を求めているかを調べるとよいでしょう。チラシに掲載する情報がより絞り込みやすくなり、チラシ作成時の内容やデザインを考える際に役立ちます。

下記のチラシは、10代から20代の若年層をターゲットとした、ハンバーガーを取り扱う飲食店のチラシをイメージしたものです。10代から20代の若年層をターゲットとする場合、黄色や赤色などの明るめのカラーでチラシを作成することで顧客にポップな印象を与えることができ、集客に期待ができます。
ファストフードメニュー

顧客の心に刺さるキャッチコピーになっている

チラシを手に取った人が興味をもってくれるか、すぐに捨ててしまうかはキャッチコピーによって決まる可能性が高いです。キャッチコピーとは、人の注意を引く宣伝文句のことを指します。ターゲットの興味を引くキーワードが入っていれば、「もっと詳しく知りたい」と思ってもらいやすくなります。

キャッチコピーの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

魅力的なキャッチコピーの考え方|アイデアを出すためのコツも紹介

一目で興味を抱かせるチラシデザインになっている

上記で紹介したキャッチコピーと同じくらい大切なのがデザインです。しかし、写真や文字をただ大きくしたり、見栄えだけをおしゃれにしてもあまり効果はありません。ある程度余白を作って読みやすくする、あえて手書きにするなど、ターゲットとなる人が手に取って、興味をもって読み進めてもらえるようなデザインにすることが重要です。

チラシのデザインについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

チラシ作成の方法やデザインのコツを解説|制作の基礎

美味しそうな写真を掲載している

写真のような視覚的に訴える情報があると、チラシが目に留まりやすくなるだけでなく、提供している料理をイメージしやすくなります。ただし、やみくもに写真を載せても意味はありません。ターゲットに「美味しそう」「食べてみたい」と思ってもらえるよう、写真の明るさや構図などにも気をつけて掲載しましょう。また、撮影した写真はチラシだけでなく、パンフレットやメニュー表、ショップカードにも使用できることができます。

写真の撮影を行う場合は、下記の4つのポイントを押さえて行いましょう。

自然光を活かして撮影する

自然光を活かして撮影する

料理は自然光が入るように撮影すると、明るく自然な色合いを表現することができ、おいしそうな料理の写真を撮ることができます。店内で撮影を行う場所としては窓際の席で撮影をするのがおすすめです。
また、自然光と室内の照明が混ざると不自然な色合いになってしまう恐れがあります。そのため、撮影する際は室内の照明を消して作業を行うようにしましょう。

できたての料理を撮影する

できたての料理を撮影する

料理を撮影するときは「シズル感」を意識することが大切です。シズル感とは「sizzle」というステーキが焼けているときの様子を指し、購買意欲をそそるようなみずみずしさを表します。撮影する際には溢れるような肉汁や湯気、グラスから落ちる水滴などを意識することが大切です。

撮影する角度を工夫する

撮影する角度を工夫する

料理をおいしそうに撮影するためには、撮影する角度も工夫することが大切です。具体的には品数が少ない場合は、斜め45度の角度で、品数が多い場合は真上から撮影することがおすすめです。なぜなら、普段食事をしている角度とほぼ同じで、写真を見た方が料理をイメージしてもらいやすくなるからです。撮影する料理に応じて、おいしそうに見える角度を調整しながら、撮影を行いましょう。

プロのカメラマンに依頼する

プロのカメラマンに依頼する

写真撮影に自信がない場合、プロのカメラマンに依頼することもおすすめです。依頼をすることで装飾品を利用した撮影や、料理がおいしそうに見える角度の写真を撮影してもらえるでしょう。
しかし、依頼をすることで撮影に費用がかかることに加え、撮影の時間やタイミングなどの細かい点も合わせる必要があります。そのため、予算や日程に余裕がある場合は、プロに依頼することも検討してみるのもおすすめです。

チラシに掲載する情報が絞られている

メニューや料理の価格、店舗の場所など、沢山情報を掲載したくなりますが、詰め込みすぎると一つ一つの情報が埋もれて伝わりにくくなってしまいます。集客したい顧客に合わせて情報を絞ることが大切です。また、「ターゲットはどんなことを知りたいのか」という、顧客側の目線も情報を精査する際には重要です。

チラシにクーポンが付いているクーポンが付いている

「初めて来店した方には一品無料」など、クーポンをきっかけにお店を利用してみようという人を集めることができます。また、クーポン付チラシを持参してくれた顧客に、次回以降も使えるクーポンを渡せば「次も行ってみよう」という動機を与えることができます。顧客が来店する機会を増加させることは、店舗にとって多くのメリットをもたらします。

飲食店におすすめのチラシ作成方法

チラシのイメージラフはできたけれど、「専用デザインソフトをもっていない」「どうやって完成まで持っていけばいいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。ここでは、飲食店におすすめのチラシの作成方法を4つ紹介します。

チラシ業者に依頼する

自分でデザインすることに自信がない場合、プロのチラシ業者に依頼することもおすすめです。また「こんなお客さんに見てもらいたいと考えている」というイメージを伝えれば、業者側からデザインの提案やアイデアをもらえる場合もあるでしょう。専門性が高い分費用がかかる場合もあるので、まずは見積りを依頼することをおすすめします。

クラウドソーシングを利用する

「業者に頼むと予算を越えてしまうが、ある程度技術がある人に依頼したい」という場合、クラウドソーシングを検討するといいでしょう。クラウドソーシングとは、オンライン上で仕事の受注・発注を行うサービスです。個人のデザイナーに依頼すれば、コストを抑えつつ、オリジナリティのあるデザインを作成できるでしょう。

デザインアプリ・テンプレートで自作する

ある程度デザインに自信がある人や、予算に限りがある場合、デザインアプリやテンプレートを活用するといいでしょう。最近ではチラシが作れる無料のアプリや、レイアウトが完成され、文字を打ち込むだけでチラシが作成できるテンプレートなど多く出ています。しかし、多くの人が利用できるものなので、そのお店ならではを表現しにくいという弱みがあります。

下記の記事では、豊富なデザインテンプレートからチラシ作成が可能なアプリを紹介しています。併せてご覧ください。

魅力的なチラシがデザインできるアプリはどれ?選ぶ際のポイントも紹介

あえて手書きする

絵や文字を書くことに自信がある方は、手書きでチラシを作成することもおすすめです。デジタルでは表現できない味わいや、温かさを出すことができるので、見た人に親近感を持ってもらいやすくなります。手書きで作成する場合、書き込み過ぎによって紙面が見づらくならないようレイアウトに注意しましょう。

チラシの種類や使われる用紙は?

下記では紙媒体のチラシの種類と使われる用紙について解説します。チラシの種類や使われる用紙の特徴、違いを理解し、店舗にあった方法で配布を行いましょう。

チラシの種類について

紙のチラシの種類に関しては折込チラシとポスティングチラシの2種類があります。まず、折込チラシとは、新聞に折り込まれる広告のことで、飲食店の宣伝にも効果が期待できます。
対象としたい地域を選定してアプローチできるほか、予算によって部数を選べるなどのメリットがあります。一方で、新聞を通して広告を届けるため、ターゲットの年齢層を絞ることができないデメリットもあります。
費用は部数にもよりますが、折込チラシによく使用されるB4サイズで1枚あたり3.3~4.8円ほどです。具体的な金額が知りたい場合は、検索サイトで「折込チラシ 料金 ○○(地域名)」と検索すると、その地域の料金を確認することができます。

もう1つのポスティングチラシは、各家庭やアパート、事務所などの郵便受けに直接投函されるチラシのことを指します。郵便受けさえあれば配布できるので、狙ったターゲット層にダイレクトに訴求できるメリットがあります。しかし、1軒ずつ手作業で投函するため、1日に配布できる量に限界があります。また、「チラシを投函しないでほしい」という顧客からの意見を避けられない可能性もあります。必要な費用は配送スタッフの人件費が主です。配布方法はローラー配布(指定エリア内全ての住宅に配る方法※投函禁止の住居除く)とセグメント配布(対象を絞って配る方法)があり、ローラー配布はA4サイズまでの小型のものが一枚あたり3~4円、セグメント配布なら一枚あたり5円~10円前後です。

上記では紙のチラシ配布について解説を行いましたが、スマートフォンさえあれば、時間や場所を問わずチラシを確認できるWEBチラシで集客を行うことも可能です。

アプリなどのWEBチラシについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

チラシは5つの種類がある!用紙の違いについても徹底解説

チラシの用紙について

チラシによく使用される用紙として、光沢紙(コート紙)・マット紙・普通紙(上質紙)の3種類があります。チラシを配布したい対象や、掲載する内容に合わせて選択しましょう。

  • 光沢紙(コート紙)…表面に光沢がある用紙です。家庭用プリンターに適した紙であることが多いです。写真などを印刷することに向いているため、写真を多めに配置してチラシを構成したい場合におすすめです。
  • マット紙…表面につや消し加工を施しているため、サラサラした質感になっています。ツヤが抑えられるため文字が読みやすく、落ち着いた雰囲気に仕上げたい場合におすすめです。
  • 普通紙(上質紙)…一般的によく使用されている紙です。身近なものではメモ帳やコピー用紙に使用されています。価格が安価なため、購入しやすいという長所があります。書き込みを前提としたチラシの印刷に向いています。

紙の種類が決まったら、用紙の厚さも決める必要があります。

  • 70kg(厚さの目安 0.08~0.10mm)…コピー用紙とほぼ同じ厚さです。折込チラシやポスティングチラシによく使用されます。
  • 90kg(厚さの目安 0.09~0.13mm)…コピー用紙よりも少し厚みがあります。イベント等のフライヤーによく使用されます。
  • 110kg(厚さの目安 0.10~0.16mm)…パンフレットや、文庫本の表紙によく使用されるしっかりした厚みがあります。折込チラシや、カタログの表紙によく使用されます。
  • 飲食店のチラシ作成でよくある疑問

    チラシを作成する中で、「次は何をすればいいのか」という疑問は多く生まれるでしょう。ここでは、印刷する用紙の選択や配布エリアの検討、その後の効果の測りかたなど、よくある質問を3つご紹介します。

    どのエリアにチラシを配ったらいい?

    まずは既存客の住まいを参考にすると同時に、店舗から半径500mのエリアから始めて、徐々に範囲を拡大していくことが一般的です。

    ほかにも、店舗が道路の近くに位置するなら遠方から来店する顧客を想定したり、店舗が住宅街に位置するのであれば、徒歩で来店する顧客を想定するなど、店舗の立地からチラシの配布エリア計画を立てることもできます。

    反響や効果はどうやって計測すればいい?

    チラシを配布してそのままにせず、実際に効果があったかどうかを確認し、改善して次の施策に活かす必要があります。配布したチラシの効果を測るには反響率(反応率)を活用します。反響率とは、配布したチラシによって対象の商品やサービスに実際にアクションを起こした人の割合のことを指します。

    効果を測るには、チラシを受け取った顧客がどんなアクションを起こしたらチラシに反応があったか記録するか、を事前に決めておきましょう。例えば、チラシを持って来店した顧客数、チラシを見て電話のお問い合わせがあった件数などが記録する対象になります。

    反響率は以下の計算式で計算することができます。
    ・反響率(%)=来店数(注文数)÷配布枚数×100

    チラシの反響率は一般的に0.01%〜0.3%程度といわれています。10,000人に配布して1〜30人程度の来店に期待ができるます。反響率はあくまで1つの指標となりますが、チラシを配布する費用が集客できたことによる利益よりも多くかかってしまっては、チラシを配布する目的を失ってしまいます。どのような目的でチラシを配布し、どのような効果を期待するのかを明確にして戦略的に販促を行いましょう。

    まとめ

    「チラシの配布」は比較的導入しやすい代表的な集客ツールの一つである分、ライバル店も多くチラシを配布しています。今回紹介した魅力的なチラシの特徴や、作成方法などを試して同業他社のチラシの中で、顧客に手に取ってもらえるチラシ作成の参考にしてみてください。

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